猛暑の友、アイスクリームの支出金額はいくらかな? ジェラートの日にちなみデータ大検証(2024年版)
8月27日は映画「ローマの休日」が公開された1953年8月27日にちなみ、ジェラートの日と定められている。「ローマの休日」ではオードリー・ヘプバーンが演じるアン王女が、スペイン広場の階段で食したジェラートが印象的で、それに基づいたものであるとのこと。今回はこの記念日にちなみ、総務省統計局の調査「家計調査」でジェラートにほぼ一致する「アイスクリーム・シャーベット」など、多様な数字的な動向を確認し、アイスクリームのあれこれを学んでいくことにする。
主に用いるデータは総務省統計局の家計調査からのもの。対象とする品目はアイスクリーム・シャーベットだが、言葉の定義としては次の通りとなる。
アイスクリーム・シャーベット…氷菓子も含む。アイスキャンディー、ソフトクリーム、アイスケーキ
ジェラートは元々イタリア語の「凍った」を意味する氷菓を指し、アイスクリームと比べると空気含有量が少ないため高密度な味わいなのが特徴。しかしながら家計調査など一般の調査ではジェラートのみを対象としたものはほとんど見当たらないため、今回は家計調査の品目ではアイスクリーム・シャーベットを精査対象とする。
まずはアイスクリームの出荷金額。こちらは経済産業省の工業統計調査・経済構造実態調査の結果を用いている。またシャーベットは含まず、アイスクリームのみである。さらにこのアイスクリームには乳製品以外は含まれていない。
値を取得可能な最古の1999年では2138.3億円。それ以降、ほぼ右肩上がりで出荷金額は増えていき、最新値となる2022年では4158.9億円。前年比はプラス4.1%と増加。2021年で著しく減少したのは、コロナ禍で外出機会が大きく減ったのが影響しているのだろう。
続いて月単位でのアイスクリーム・シャーベットへの支出金額動向。家計調査で月単位のデータが取得できるのは二人以上世帯のみなので、二人以上世帯の動向を確認する。1年分丸ごと確認できる最新分となる2023年の動向は次の通り。また、取得可能なもっとも古いものとなる2002年の値を併記し、月ごとの支出金額がどのような変化を示したのか、増減率のグラフも作ってみる。
最近は冬にもアイスクリームなどを食べることが当たり前となり、むしろ通好みとの話もあるが、やはり夏の支出金額はけた違い。2023年では8月がもっともアイスクリーム・シャーベットへの支出金額が大きく、1710円。もっとも小さい2月の500円と比べると3倍以上の金額となっている。
2002年の支出金額と2023年のを比較すると、すべての月で2023年の方が大きな値となっている。特に増加率が大きいのは11月のプラス122.1%、次いで9月のプラス102.3%。11月などの増加ぶりだけを見ると「夏場にアイスクリームなどを食べるのは昔も今も変わらないが、冬場もよく食べるようになった」とも言えなくもないが、9月などにも大きく値が増えていることから、「冬場もよく食べるようになった」との断言は難しい。
それではアイスクリーム・シャーベットへの支出金額は昔も今も変わりないものだったのだろうか。継続する形でのデータが取得できる2002年以降の動向を確認したのが次のグラフ。
生産量はおおよそ漸増していることもあり、世帯ベースでの支出金額は増加傾向にある。もっともこれは商品単価が上昇しているのも一因だろう(特に2022年以降)。直近年となる2023年は9253円を示している。
次にアイスクリーム・シャーベットへの支出金額の地域別動向。こちらは家計調査の総世帯の値を基に勘案している。
アイスクリーム・シャーベット支出金額のトップは滋賀県の1万2327円、次いで秋田県の1万1411円、石川県の1万1292円。ちなみに最低金額は大分県の5624円。トップの滋賀県と比較すると半分足らずでしかない。
地図化した限りでは傾向だったものは見出しにくい。あえて言えば関東から東北地方で高いというぐらいだろうか。
技術進歩による多様化、流通機構の進歩、そして容易に購入できる場となるコンビニやスーパーの大規模展開で、ジェラートなりアイスクリームなりは身近な食品となっている。自宅の冷凍庫を開ければ保存してあるアイスクリームをいくつ見つけることができるだろうか。
ここ数年は毎年のように最高気温を更新するような猛暑が続いている。アイスクリームの市場拡大もさらに進むことだろう。
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