中国軍「東部戦区」代表団が訪日 日中関係改善の兆し?日本に急接近する中国の思惑とは #専門家のまとめ
海洋進出が著しい中国の軍事力の増強を念頭に、防衛省・自衛隊が南西諸島の防衛力強化を急いでいる中、折しも中国軍で台湾方面を担当する東部戦区の代表団が1月13日から17日まで日本を訪れている。中国国防省は13日、訪日の目的について「中日両国の相互理解と信頼を深め、防衛交流を促進するのに資する」と説明した。一行は14日に防衛省や自衛隊の幹部と会談した。海上自衛隊の基地の視察なども行う予定だ。ここにきて日本に急接近する中国の思惑とはいったい何か。
ココがポイント
エキスパートの補足・見解
今回の代表団訪日について、中国には3つの思惑があると考えられる。1つ目は、石破首相が、1972年に日中国交正常化を実現した田中角栄元首相を「政治の師」として仰ぎ、その政治DNAを受け継いでいるためだ。中国政府の代弁者的な存在として知られる中国共産党機関紙・人民日報系の「環球時報」は13日、専門家のコメントを引用し、「石破首相の就任以来、中日関係は緩和と安定の兆しを見せ始めている」と称えた。田中は、中国で日中関係の「井戸を掘った人物」と称賛されている。
2つ目は、防衛省・自衛隊が近年、鹿児島県南部から沖縄県の島々へ連なる南西諸島で陸上自衛隊駐屯地を次々と開設し、ミサイル部隊を新編するなど急ピッチで防衛力を強化していることから、中国側も圧力を感じていると思われることだ。代表団の訪日で、尖閣諸島周辺を含む東シナ海での日中の偶発的な衝突を回避する狙いがある。現に環球時報は「双方の誤解や誤判断をなくし、予期せぬ事件の可能性を減らし、地域の平和と安定を維持するのに役立つ」と報じた。
3つ目は対中強硬派のトランプ第2次政権が20日に発足するため、中国は可能な限り、日米を分断したい意向があるとみられる。