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GW沖縄、飛行機ホテルは取れても【レンタカー無い問題】がホテルを直撃…コンパクトカー3日間15万!?

瀧澤信秋ホテル評論家
那覇空港のレンタカー送迎バス乗り場(筆者撮影)

やはりレンタカー?

コロナ禍で東京オリンピック延期が決定、初の緊急事態宣言という危機感に包まれていた2年前とは確実にムードは変化しており、最大10連休!?という来たるGW(ゴールデンウイーク)についても、テレビをはじめとしたメディアでは旅行の話題が多く取り上げられるように(無論往時の活況には及ぶべくもないが)。観光地への飛行機も満席という光景もこのところたびたび見かけるようになりました。

いきなり筆者個人の話で恐縮ですが、基本的にホテル取材は閑散期が基本で繁忙期に取材へ出向かないことを原則としています。ホテルが忙しい時に仕事での訪問は(料金の高さというハードルもそうですが)忙しいホテルに手間を取らせる、迷惑をかけるということを考慮しています。さらに領収証で精算とはいかないフリーランスゆえに移動経費の問題は深刻。

とくに繁閑によって料金変動が激しい飛行機利用が前提の北海道や沖縄へは、閑散期に集中して出向く傾向があります。真冬の北海道行きは定番ですし、今春でいえばコロナ禍で開業が延期されていたホテルが一気にオープンというタイミングも重なり、沖縄へは3月下旬以降4週連続で訪問しました。とにかくGW以降のトップシーズン前に集中してホテル取材を済ませておこうという狙いでした。 

写真のレンタカー会社と本文は関係ありません(筆者撮影)
写真のレンタカー会社と本文は関係ありません(筆者撮影)

料金変動といえば、ホテルや飛行機に加えて気になるのがレンタカー料金。北海道や沖縄観光はレンタカー利用前提という条件のエリアといえます。もちろん公共交通機関で移動する行程も組めるのですが、北海道の広大なエリアに点在するスポットや沖縄でいえば鉄道網も脆弱で(※)、効率的に目的地を巡るためにもやはりレンタカーに白羽の矢が立ちます。

※沖縄の公共交通機関利用としては「沖縄路線バス周遊パス」が発売されている

気候の問題もあります。真冬の北海道へ出向くことが多いと前記しましたが、極寒に根雪、日中は少し溶けてぐちゃぐちゃな道路などレンタカーに助けられたシーンは数えきれません。沖縄も同様。過去に何度か真夏の沖縄を体験しましたが、レンタカーの冷房MAXでも直射日光がジリジリと攻めてくる。東京から出向いたわたくしのような旅行者にとって、真夏の沖縄での移動はやはりレンタカーありきとなります。

コロナ禍で減ったレンタカー

個人的な話で前置きが長くなってしまいましたが、昨年沖縄を訪問した際にレンタカー業者の方から興味深い話を聞きました。訪問は夏でしたが(当時は自粛ムードということもあり空港ターミナル7レンタカー会社も閑散としていた)「トップシーズンのはずなのにこんな状態なので車輌を維持できず半分に減らしました」という話。

続けて「人出が戻ったとしてもおいそれと車輌を増やすことはできない」「レンタカー不足になるのではないか」と吐露してくれました。他のレンタカー会社で同様の話を聞いたところ「来るべきシーズンを期待すればなるべく減らすことはしない方針なのですが…とはいえ仕方なく3割削りました」という話も。

このGWレンタカー不足は深刻に

先月下旬から4週連続で沖縄へ出向いたと前述しましたが、レンタカー料金変動の傾向も顕著でした。だいたい(超大手ではない店舗で)一番安いコンパクトカーを借りますが、3月下旬で実勢料金2泊3日6000円~8000円といった印象だったところ、最後に出向いた4月中旬で2泊3日15000円~と倍近くになっていました。

昨夏聞いた話を思い出し、4週の沖縄行きで利用した3社のレンタカー会社の方それぞれに聞いてみると「需要は高まっているものの本島のレンタカー全体として以前の供給にはまったく戻っていない」「お客様(筆者のこと)はGW前の時期だから予約できたと思うけど、GWはもとより夏休みなど既に熾烈な争奪戦になっているよ」などという話に。別のレンタカー業者の方は「そうはいっても例年ならなんだかんだ空きはあるものだけど…今年はパンパンね」と。

OTA予約サイトの画面キャプチャ
OTA予約サイトの画面キャプチャ

そんな事前情報もあってコロナ禍からのムード変容、初の超繁忙ともいえるGWはどうなのだろうかと5月3日~5日で調べてみると…やはりまったく歯が立ちません(車種問わず空いていない)。一瞬表示されたのがコンパクトカー3日間15万数千円也でしたが、改めて確認しようと検索すると表示は消えていました。

OTA予約サイトの画面キャプチャ
OTA予約サイトの画面キャプチャ

単日で検索するとわずかに見つかりましたが(4/18現在)、閑散日で1日3000円~くらいという印象のローコストタイプで2万円~4万円といった表示です(そもそも単日で空港近くへ戻せるような移動なら公共交通機関やタクシーでもフォローできそうですが)。

レンタカー不足がリゾートホテルに与える影響

さて、レンタカー不足問題は沖縄のホテルにとっても深刻な模様。レンタカー不足ほどに沖縄のホテル稼働はいまだ往時に及びませんが、那覇市内のホテルスタッフとレンタカー不足の話題になった際「那覇市内や周辺ホテルならゆいレールや路線バスでカバーできる部分もありますが…名護方面のホテルさんはかなり影響あるのでは」という話に。

そこで、名護方面のリゾートホテルに勤める知人に聞いてみると「沖縄のホテルはレンタカーありきで成り立っている側面がある」「飛行機やホテルが予約できてもレンタカーが取れずキャンセルになるケースもある」といい、他のホテルのスタッフも「那覇から離れたリゾートホテルでこのGWでいえば実際にレンタカーが取れずにキャンセルになったケースも聞く…今後も心配」と内情を語ってくれました。

写真は本文とは関係ありません
写真は本文とは関係ありません写真:イメージマート

コロナ禍でスタッフを減らしたホテルについては記事にもしてきましたが、トップシーズンに向けて採用・拡充する現場の話はちらほらと入ってきます。需要が戻るからまた増やす-はホテルのスタッフ採用でも大変、ましてや往時の活況が戻るという確証もなく、トップシーズンに合わせて車輌を確保することは、大手事業者、中小事業者で事情は異なるにせよ、レンタカー会社にとって相当にハードルが高いことは想像に難くありません。

一方で、先述したレンタカー会社で部長さんを紹介いただき話を聞いたところ、これはある意味でビジネスチャンスでもあり、早急に供給できるよう目下対策中とも教えてくれました。これから夏にかけての沖縄レンタカー事情については引き続き注視していきたいと思います。いずれにしてもレンタカー問題がいま相当深刻な問題になっていることをGW前の沖縄でひしひしと感じました。これは北海道も同様の傾向があるということで、機会があれば取材したいと考えています。

*   *    *

以下は、実際に那覇空港エリアでレンタカーを借りられた場合に参考いただければ幸いです。那覇空港でのレンタカー受け渡しは禁止されているので、到着出口から横断歩道を渡ったレーンに向かい、予約したレンタカーの場所でスタッフに申し出、迎えに来た送迎車に乗りレンタカー会社へ向かいます。

那覇空港レンタカー送迎バス乗り場の表示(筆者撮影)
那覇空港レンタカー送迎バス乗り場の表示(筆者撮影)

この那覇空港レンタカー送迎バス乗り場のレーンはかなり長く、利用するレンタカー会社により2箇所の横断歩道のどちらを渡るか事前確認しておくと良いでしょう。

ホテル評論家

1971年生まれ。一般社団法人日本旅行作家協会正会員、財団法人宿泊施設活性化機構理事、一般社団法人宿泊施設関連協会アドバイザリーボード。ホテル評論の第一人者としてゲスト目線やコストパフォーマンスを重視する取材を徹底。人気バラエティ番組から報道番組のコメンテーター、新聞、雑誌など利用者目線のわかりやすい解説とメディアからの信頼も厚い。評論対象はラグジュアリー、ビジネス、カプセル、レジャー等の各ホテルから旅館、民泊など宿泊施設全般、多業態に渡る。著書に「ホテルに騙されるな」(光文社新書)「最強のホテル100」(イーストプレス)「辛口評論家 星野リゾートに泊まってみた」(光文社新書)など。

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忌憚なきホテル批評で知られる筆者が、日々のホテル取材で出合ったリアルな現場から発信する辛口コラム。時にとっておきのホテル情報も織り交ぜながらホテルを斬っていく。

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