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【都道府県別 18歳投票率ランキング】13%減の東京都は参院選で挽回なるか?

高橋亮平日本政治教育センター代表理事・メルカリ経営戦略室政策企画参事

図表1: 都道府県別18歳の投票率の推移

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(出典)総務省の全数調査データから筆者作成

世間が令和の話題ばかりのGWだったが、子どもの日を迎えたことを受け、平成時代の「18歳選挙権」を少し振り返ってみたいと思う。

4年前の2015年6月、この「18歳選挙権」を含む公職選挙法改正案は、衆参ともに全会一致で可決、成立した。言い換えれば、与党も野党も全国会議員が一致して、これからの政治に若者の声を反映することが重要だと判断したのだ。

2000年から選挙権年齢引き下げを仕掛けてきた者としては、この70年ぶりの選挙権年齢引き下げの快挙は、平成の大きな出来事の1つを達成したものと思っている。

この18歳選挙権、2016年の参議院選挙、2017年の衆議院選挙と、既に2度の国政選挙で実施され、先月には全国の多くで同時に行われる統一地方選挙でもはじめて実施された。

統一地方選挙でのデータはまだ明らかになっていないが、18歳の投票率は、2016年の参議院選挙は51.28%、2017年の衆議院選挙47.87%だった。

いずれも全年代を通じた投票率を下回ったものの、2016年の参議院選挙では全年代を通じた投票率は54.70%、19歳42.30%、20歳代35.60%、30歳代44.24%に対して、18歳は51.28%。2017年の衆議院選挙でも全年代を通じた投票率53.68%、19歳33.25%、20歳代33.85%、30歳代44.75%に対して、18歳は47.87%ということを考えれば、18歳の投票率は若干下がったものの、他の世代に比べれば健闘していると言える。

この「18歳投票率」、2度の国政選挙で実施してみて、既に地域によっても少しずつ異なる結果が出始めてきている。

今年は夏にまた参議院選挙を控える。

個人的には衆参ダブルになる可能性もかなりあるのではないかと思っており、この「18歳投票率」について、今回は総務省が公開している全数調査を使って都道府県別の状況について書いていく。

18歳投票率、最初の国政選挙ではベスト3が、東京、神奈川、愛知

2016年7月実施の参議院選挙で18歳の投票率が最も高かったのは、東京都の62.23%だった。60%を超える投票率は、多くの方々を驚かせた。次いで2位が神奈川県の58.44%、3位が愛知県の58.20%、4位が奈良県の55.51%、5位が埼玉県の55.31%と続いた。

18歳選挙権導入後初の国政選挙ということもあり、メディアを含めた様々なキャンペーンが功を奏したのか、東京をはじめとした首都圏など大都市圏の投票率が高く、逆に四国や九州などの投票率は低いという状況になった。

最も18歳投票率が低かったのは高知県の35.29%、次いで宮崎県の38.54%、徳島県の41.20%と続いた。

図表2: 都道府県別18歳投票率ランキングベスト10・ワースト10(2016参議院選挙)

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(出典)総務省の全数調査データから筆者作成

1年後の衆院選ではベスト3が、山形、山梨、新潟に

この18歳投票率、ある種のブームが終わった1年後の2017年10月に行われた衆議院選挙では、各都道府県の状況も大きく変わることとなった。

最も投票率が高かったのは、山形県の58.28%、次いで山梨県の57.61%、3位が新潟県の56.65%、4位が岩手県の55.36%、5位が長野県の55.20%と自治体の顔ぶれは一変した。

山形県は参院選での11位から10自治体を抜いて一気に1位に、2位の山梨県も7位からのランクアップ、3位の新潟県にいたっては半分より下位の25位からのジャンプアップとなった。

逆に18歳投票率が低かった都道府県は、徳島県が41.61%と前回と同じくワースト3位だったが、最も低かったのは兵庫県の37.88%、次いで大阪府の41.09%と下位自治体の顔ぶれも変わることとなった。

こちらも大阪府は衆院選の14位から一気にワースト2位、兵庫県は19位から一気にワーストへと転落した。

図表3: 都道府県別18歳投票率ランキングベスト10・ワースト10(2017衆議院選挙)

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(出典)総務省の全数調査データから筆者作成

参院選から衆院選で18歳投票率が下がったのは21自治体

18歳選挙権最初の国政選挙であった2016年の参議院選挙と、翌年2017年の衆議院選挙との18歳投票率を比較すると、26都道府県で投票率が上がったものの、21都道府県で投票率が下がった。

一般的に衆議院選挙の方が投票率が高くなることを考えると、初回の選挙ということもあり高めに投票率が出た可能性が高い。

18歳投票率が上がった都道府県と下がった都道府県を地方区分で見てみると、地方ごとにも特徴が大きく現れた。

18歳投票率が上がった都道府県を見ると、四国地方では4県すべてが上昇、九州・沖縄地方も8県中7県が上昇、北海道地方・東北地方も7同県中6道県が上昇、中国地方も5県中4県が上昇していた。

一方で、近畿地方では7府県すべて18歳投票率が下がっているのを筆頭に、関東地方でも7都県中6都県で減少、中部地方では9県中5県で減少となった。

こうした状況を見ていると、関東地方や近畿地方など都市部で初回として盛り上がったものの、ある種のブームを終えて一気に下がっていることが伺える。

図表4: 地方別18歳投票率の増減都道府県数・率(2017衆院選-2016参院選)

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(出典)総務省の全数調査データから筆者作成

最も投票率が下がったのが東京、最も上がったのは高知だった

2016年の参議院選挙と、翌年2017年の衆議院選挙との比較で、18歳投票率の増減を都道府県ごとに見ると、最も投票率が上がったのは+8.72%の高知県、次いで僅差で新潟県、3位が長崎県の+8.30%、4位が北海道の+7.49%、5位が岩手県の+7.39%となる。

逆に、最も18歳投票率が下がってしまったのが東京都の▲13.01%、次いで兵庫県の▲11.44%、ワースト3が神奈川県の▲10.48%だった。

解散総選挙になるため、事前の対策や政治教育の充実などがし難いのが衆院選ではあるが、特にこの比較で下位だった都道府県は、事前の準備がしやすい今年の参院選では、しっかりと対応を行って挑んでもらいたいものだと思う。

図表5: 都道府県別18歳投票率の増減ランキング(2017衆院選-2016参院選)

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(出典)総務省の全数調査データから筆者作成

18歳選挙権の導入を受けて、総務省はこれまでの世代別投票率のようなサンプル調査ではなく、18歳・19歳については全数調査を行った。

都道府県は勿論、各自治体は、こうしたデータを元に自らの自治体の置かれている状況をエビデンスに基づき把握した上で、若者の声を政治に反映する仕組みの構築と同時に、若年投票率の向上策の準備や、さらに重要になってくる政治教育の充実によって、政治リテラシーの構築や、若者たちに対して政治に関心を持てる仕組みを作っていく必要があるのではないだろうか。

日本政治教育センター代表理事・メルカリ経営戦略室政策企画参事

元 中央大学特任准教授。一般社団法人生徒会活動支援協会理事長、神奈川県DX推進アドバイザー、事業創造大学院大学国際公共政策研究所研究員。26歳で市川市議、全国若手市議会議員の会会長、34歳で松戸市部長職、東京財団研究員、千葉市アドバイザー、内閣府事業の有識者委員、NPO法人万年野党事務局長、株式会社政策工房研究員、明治大学世代間政策研究所客員研究員等を歴任。AERA「日本を立て直す100人」に選ばれた他、テレビ朝日「朝まで生テレビ!」等多数メディアに出演。著書に『世代間格差ってなんだ』(PHP新書)、『20歳からの社会科』(日経プレミアシリーズ)、『18歳が政治を変える!』(現代人文社)ほか。

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