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国会内で積極的に質問を行っているのはどの政党か <政党別国会質問回数ランキング 衆議院編>

高橋亮平日本政治教育センター代表理事・メルカリ経営戦略室政策企画参事
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☆獲得議員、最多は維新が圧倒、自民は1人もいない

2014年の通常国会である第186国会について、今回は、質問回数に焦点を当て、まず、衆議院から見ていく事にしよう。

186国会における衆議院の質問総数は、2,482回。昨年の通常国会である第183国会の2,357回から、125回増えた。

対象になったのは481人の議員(※186国会中に辞職・繰り上げ当選があったため)であり、その内、第186国会で質問を行ったのは326人、昨年の通常国会である第183国会の345人からは、逆に19人少なくなっている。

この中で、今回、NPO法人「万年野党」の国会議員三ツ星評価における質問回数部門で☆を獲得した議員は、質問回数18回以上35位までの42人とした。

この☆獲得議員42人を政党別に見ると、最も多かったのは、維新の11人(26.2%)。次いで民主・みんな・結い・共産が6人(14.3%)で並んだ。以下、生活が4人(9.5%)、公明2人(4.8%)、社民1人(2.4%)となっており、とくに象徴的だったのは、自民の0人であり、自民は、昨年の通常国会である183国会の5人(10.2%)から一気に1人もいなくなった。

5月に行った万年野党“結党”大会で三ツ星議員を表彰した際、自民党の塩崎恭久・現厚労大臣が、「野党暮らしの3年余りで質問の仕方を勉強した」と話していたのが印象的だったが、この結果から見れば、自民はこの1年で野党での経験を忘れてしまったのだろうかと考えさせられる。

一人当たりの質問数は、小規模政党の方が有利

図表1: 衆議院政党別質問回数割合(☆獲得議員数・一人当たり回数・総数)

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一人当たりの質問回数を見ると、少し異なる状況が見えてくる。

186国会の衆議院全議員の平均質問回数は5.2回だった。

政党ごとに見ると、最も一人当たり質問回数が多かったのは、共産の28.5回、次いで、みんなの24.3回、結い22.8回、生活21.3回、社民15.5回、維新10.5回、民主9.7回、公明7.6回と、ここまでが平均以上になる。平均以下は、自民1.1回、無所属0.8回しかない。

質問総数で見ると、自民・公明も上位

しかし、質問総数で見ると状況はさらにガラリと変わる。

自民も317回(12.8%・3位)、公明も236回(9.5%・4位)と与党も一定の割合を占めているのだ。政党としての質問総数がこの2党より多いのは、維新556回(22.4%)と民主531回(21.4%)だけであり、一人当たりで上位だった政党も、共産228回(9.2%)、みんな219回(8.8%)、結い205回(8.3%)、生活149回(6.0%)、社民にいたっては31回(1.2%)しか質問をしていない。無所属にいたっては、たったの10回(0.4%)だ。

議員数によって割り振られる事の多い質問に関しては、無所属議員には機会すら少ない事が分かる。逆に言えば、これだけ政党として質問をしながらも、自民などは所属議員が多過ぎ、党内で質問の順番が回ってこないという構造になっている事も分かる。

こうした事にも留意し、今回の『186国会版 国会議員三ツ星データブック』からは、政党ごとのランキングも始めた。

上位にランキングされる訳ではないが、自民党の中でも積極的に質問をしている議員はいるからだ。ちなみに、自民党の中で最も多くの質問をしたのは、中村裕之 議員(118分・北海道4)、菅家一郎 議員(131分・福島4)、関芳弘 議員(107分・兵庫3)、橋本岳 議員(117分・岡山4)の4人が、質問回数5回で並んでいる。自民所属議員の平均質問回数の約5倍の質問をしたという事から考えれば、大健闘と言えるのではないだろうか。

ほとんどの政党が質問数増加の中、自民・共産だけが減少

NPO法人「万年野党」では、2013年の通常国会である183国会版から国会ごとの『国会議員三ツ星データブック』の発行を始めた。そこで、2013年と2014年の通常国会同士の比較も行ってみる事にする。

最も目につくのは、自民の質問回数の減少だった。183国会では、衆議院で質問総数が最も多いのが自民であり、質問総数の21.9%に当たる517回をも占めていた。それが、今回の186国会では317回(12.8%)にまで急減。一人当たりも1.8回が1.1回に、☆を獲得した議員にいたっては、5人もいたものが、一気に1人もいなくなってしまったのだ。

ただ、質問回数が減少しているのは、自民だけではない。意外にも共産も259回が228回に減少、一人当たりでも共産は、トップではあるものの32.4回だったものが28.5回に、☆獲得も7人から6人に減ってしまった。

質問総数で言えば、みんなも288回(3位)から219回(5位)と減少しているが、議員数が減ったため一人当たり回数は、逆に16.0回(3位)から大幅に増やし24.3回(2位)まで増えている。新たにできた結いも総数が205回(6位)、一人当たり22.8回(3位)と多くの質問を行っており、☆獲得議員は183国会で11人だったみんなは186国会では6人、結い6人と合わせた人数ではむしろ増えている。

その他の政党は、全て183国会から質問回数を増やした。中でも増えているのは、維新で、183国会で450回と3位だったものが、100回以上も増やし556回のトップとなった。維新は一人当たりでも8.5回(4位)が10.5回(4位)、☆獲得議員数も10人(2位)から11人と増やし、2位に2倍近くの差を付け、ダントツトップになった。

また、民主は、☆獲得議員を約2/3に減らしてしまったが、質問総数は483回(2位)から531回(2位)へ、一人当たりも8.5回から9.7回に増やした。

『186国会版 国会議員三ツ星データブック』Amazonでも発売開始

NPO法人「万年野党」では、こうした質問回数をはじめとした国会議員の活動データをまとめ、レストランガイドの様に国会議員を三ツ星評価した、『国会議員三ツ星データブック』を発行している。

すでに、最新の『186国会版 国会議員三ツ星データブック』を第2回総会参加者に配布したほか、会員への発送を行っており、興味のある方は、是非、「万年野党」の会員になっていただければと思う。

今回からは、NPO法人 万年野党の会員や三ツ星国会議員立ちに配布しているものと、販売用の2種を作成しており、販売用は、Amazonでの発売を始めたほか、衆議院議員会館の売店はじめ、書店で購入してもえる様にする。こちらも準備が整い次第、また連絡していこうと思う。

日本政治教育センター代表理事・メルカリ経営戦略室政策企画参事

元 中央大学特任准教授。一般社団法人生徒会活動支援協会理事長、神奈川県DX推進アドバイザー、事業創造大学院大学国際公共政策研究所研究員。26歳で市川市議、全国若手市議会議員の会会長、34歳で松戸市部長職、東京財団研究員、千葉市アドバイザー、内閣府事業の有識者委員、NPO法人万年野党事務局長、株式会社政策工房研究員、明治大学世代間政策研究所客員研究員等を歴任。AERA「日本を立て直す100人」に選ばれた他、テレビ朝日「朝まで生テレビ!」等多数メディアに出演。著書に『世代間格差ってなんだ』(PHP新書)、『20歳からの社会科』(日経プレミアシリーズ)、『18歳が政治を変える!』(現代人文社)ほか。

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