増える糖尿病内科や精神科、減る外科や小児科…日本の医師数の変化をさぐる(2022年公開版)
高齢化の進行や医療技術の発達による各種疾病の早期発見化に伴い、これまで以上に注目が集まるようになりつつある医療環境。その現場を支える医師や看護師、各種スタッフのうち、医師数の動向を厚生労働省の「医師・歯科医師・薬剤師調査」から探る。
同調査の公開データから入手可能なもっとも古い値である1994年の値を基準とし(糖尿病内科(代謝内科)のみ公開値で最古の値は2008年分なので、その値が基準値)、主要診療科別医師数の推移をグラフ化する。各診療科別の医師の増減動向が把握しやすい図となっている。また併せて直近2020年時点における主要診療科の医師数(重複カウント)も掲載しておく。なお医療施設従事医師総数は重複計算ではない。
総数、そして多くの科の医師数が増加している一方で、外科と小児科、産婦人科、内科が減少している実態。ただし産婦人科については社会問題化したこともあり、持ち直しを見せている。また内科も少しずつ数を回復しつつある。
グラフ中にも記しているが、2008年に診療科名の定義が細分化されたこともあり、調査項目も変更されている。それによる差異が2006年までと2008年以降には生じている。内科は2004年から減少しているとはいえ、2008年の急落はこの調査項目の変更によるところが大きい。
糖尿病内科は基準値が唯一2008年分のものであるにもかかわらず、その上昇度合いは今回取り上げた診療科の中では精神科を超えてもっとも高い値を示している。元々数が少なかったのも要因だが、同時に需要が急増した結果でもある。
とりわけ下落が著しい外科・小児科の減少が再確認できるのが次のグラフ。1994年から2020年における変移を計算したものだが、小児科は1割台後半、外科は3割近くも減少している。
こちらも上記にある通り、診療科名の定義変更による誤差が(特に外科で)生じている可能性に留意しておく必要がある。糖尿病内科や精神科が需要に応える形で増加しているのをはじめ、多くの科で増加している。それゆえに小児科、外科の減り具合が目立つ。内科が減少しているのは意外なところか。医療の発達で治療内容が専門化しているのが一因かもしれない。
ちなみに「複数回答」ではなく「主たる診療科」で答えてもらった場合の医師「数」は、次の通りとなる。
圧倒的な内科の多さ、整形外科の意外な多さが見て取れる。直上で「内科医師が減少傾向」としたが、需給上のバランスも考えられよう。
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