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ピークは1997年で減少傾向継続中…戦中からの新聞の発行部数動向(2023年分まで反映版)

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
今でも駅で新聞を読む人はいるが…(写真:アフロ)

日本の新聞はどれほど発行されているのか。日本新聞協会の公開資料や総務省統計局の日本の長期統計系列の公開値を基に、発行部数などを確認する。

まずは新聞発行部数。朝刊と夕刊をともに取っている家庭においては、合わせて「1部」として換算している。

↑ 新聞発行部数(種類別、万部)(積み上げグラフ)
↑ 新聞発行部数(種類別、万部)(積み上げグラフ)

戦中から終戦にかけて、情報統制や紙そのものの不足などで新聞発行部数は漸減。戦後は一転して順調な伸びを見せている。1956年に総数が一度大きく減るが、集計方法の変更(1956年以降は「朝夕刊セット」の場合は1部とカウントしている。それ以前はそれぞれ別途に数えていたものと思われる)によるところが大きい。

ともあれ新聞の発行部数は順調な伸びを見せたものの、1980年代後半から成長率は鈍化。1997年(奇しくも定期更新記事のデータでは、一番古い年数)にピークを迎えた後、漸減を続けている。グラフの色合いから見て分かるように、特に「朝夕刊セット」の部数の減り方が激しい。

この動きをもう少し分かりやすくするため、「朝夕刊のみ」「朝刊」「夕刊」それぞれについて、折れ線グラフで示したのが次の図。

↑ 新聞発行部数(種類別、万部)(各項目折れ線グラフ)
↑ 新聞発行部数(種類別、万部)(各項目折れ線グラフ)

1956年の大きな動きは直上で説明した通り、カウント方法の変更によるもの。それ以外では「夕刊のみ」が1980年代前半から早くも漸減、「朝夕刊セット」が1990年にピークを迎え、後は減少を続ける一方。「朝刊のみ」は引き続き伸びていることから、夕刊の存在意義が薄れ、対価価値が疑問視されてきたのがこの時期(1990年代)と推定される。

「朝刊のみ」の伸びも1990年代後半には緩やかなものとなり、後半になるとほぼ横ばい。それでもわずかながらずつプラスを続けていたものの、2008~2009年にはピークを迎え、以降は漸減傾向を見せる。

日本の人口は漸減を続けているが、世帯数は増加の一途をたどっている。そして新聞は世帯単位で購買する事例が圧倒的多数を占めている。「人口が減っているので購買数も減る」との説明は、新聞発行部数減少を説明するには、言葉が足りない。

そして夕刊は急速に部数を減らしているが、朝刊はまだ本格的な減少には至っていないことから(朝刊だけでも新聞購読であり、購読世帯が新聞を必要としている事実には違いない)、「新聞全体としての発行部数の観点からの勢い(≒「新聞そのものがいる・いらない」で「いる」の声の大きさ)は、20世紀末にはアクセルを緩めた程度」「21世紀に入ってからはほぼ惰性状態」「(朝刊の発行部数がピークを迎えた)2009年以降は漸減」と見ることができよう。ただしこの数年は減少度合いが加速化している感があるのは気になるところ。

今後は「朝刊のみ」の世帯の動き、具体的には新聞そのものからの離反世帯の動向に注目したい。ここ数年の減少度合いは急降下の様相を呈している。引き続き年ベースでの発表値を精査していきたい。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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