カップ麺を全国一食べているのは青森県民? 即席ラーメン記念日にちなみデータ大検証(2024年公開版)
1958年8月25日に日清食品から世界初となる即席ラーメン(インスタントラーメン)の「チキンラーメン」が発売されたことで、8月25日は即席ラーメン記念日に制定されている。そこでこの記念日にちなんで、即席ラーメンは一体どれだけ食べられているのか、総務省統計局の家計調査などのデータを見ていきたい。
家計調査の対象品目を見ると、即席ラーメンに該当するのは「即席麺」と「カップ麺」に分かれている。言葉の定義は次の通りとなる。
・即席麺…製造過程において調理味付けされ、保存可能の状態に加工されたもの(メンマ、あげ玉、わかめ程度を付加したものも含む。カップ麺は除く)。即席うどん、即席そば、即席ラーメン、インスタント焼きそば
・カップ麺…カップ状のものに麺や具材が入り、お湯を注ぐだけで飲食できるもの。主食的に食べるもの。カップラーメン、カップそば、カップうどん
この記事では「カップ麺」のデータを見ていきたい。即席麺ではない即席ラーメンの動向だ。
まずは日本におけるカップ麺の生産量。これは家計調査ではなく、日本即席食品公共協会の公開データを基にしている。
具体的な数字が示されているもっとも古い年は1971年の400万食。1971年9月18日に発売された日清食品のカップヌードルが、一般販売されたカップ麺としては初めてのものである。翌年の1972年には1億食、その翌年の1973年には4億食と、勢いよく生産量は増えていく。1977年の13.5億食で急上昇の勢いはようやく落ち着くが、それ以降も強弱はありながらも右肩上がりの形で生産量は増加。
直近の2023年においては、カップ麺は前年比マイナス5.0%の37.7億食。資源高騰の影響で値上げが相次ぎ、販売個数が減少してしまったようだ。
カップ麺への支出金額は昔も今も変わりないものだったのだろうか。家計調査の総世帯(二人以上世帯と単身世帯を合わせた世帯。要は全部の世帯)で継続する形でのデータが取得できる2005年以降の動向を確認したのが次のグラフ。
生産量はおおよそ漸増していることもあり、世帯ベースでの支出金額は増加傾向にある。もっともこれは商品単価が上昇しているのも一因だろう。2011年から2013年にかけて減少の動きを示すも、それ以降は再び増加。直近年となる2023年は記録のある限りでは最高額となる4817円を示している。
続いて月単位のカップ麺への支出金額動向。家計調査で確認できる「二人以上世帯」の動向について、最新分となる2023年分は次の通り。
一番支出金額が大きい月は12月。次いで10月。3月は年度末間近、12月は年末のため、何かと忙しくなることから、短時間で調理できるカップ麺が好まれて食べられているのかもしれない。もちろん寒い時期の方が、一般的には温かいカップ麺を選択することもあるのだろう。
最後はカップ麺への支出金額の地域別動向。こちらは家計調査の総世帯の値を基に勘案している。
直近の2023年でカップ麺への支出金額が一番大きいのは青森県の6511円。次いで大阪府の6320円、島根県の6012円。ちなみに支出金額が一番小さいのは京都府で3218円。トップの青森県と比べると5割足らずでしかない。
実情を日本地図に反映させてみたが、地域別動向としては東日本が多い感はある。だが、その理由については説明が難しい。カップ麺と対を成す即席麺(袋麺)では地域別動向としての傾向だった動きはないのだが。
技術進歩による多様化、高品質化でカップ麺は保存が効き気軽に食べられる食品として大いに普及することとなった。今ではさまざまな種類の麺類が、簡単に誰にでも食べることができるようになっている。
他方、カップ麺の登場でわき役的なポジションに追いやられた即席麺(袋麺)だが、新型コロナウイルスの流行による内食の需要拡大により、手を加えやすいベース的な主食としての価値が再認識され、多くの人に注目されるようになった。今後はカップ麺と即席麺はそれぞれの住み分けを明確化し、付加価値を高めながら、即席ラーメンを盛り上げていくのだろう。
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