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【川崎市麻生区】紙にこだわった紙切りと落語の寄席 大入りでめでたくお開き

ねこさとPライター&エディター/ロコっち新百合ヶ丘編集長(川崎市)

普段はお子さんの習い事「こどもとデザインの実験室 二角形」の教室として活用されている王禅寺のアトリエ・atelier 610で、紙にとことんこだわった「紙すき寄席」が行われました。

こちらの寄席は、「二角形」の講師であり高知の和紙の産地の支援をしている大友優子さんと、紙すき寄席実行委員の仲間の「和紙の面白さを届けたい」という強い思いから実現。

(開催の経緯は「王禅寺のアトリエで紙にとことんこだわった『紙すき寄席』開催/ロコっち新百合ヶ丘より」の記事をご覧ください)

会場のところどころが和紙で装飾されており、普段は触れる機会の少ない和紙を間近で感じることが出来ました。

出演のおふたりが座る高座や、名前を記した“めくり”も和紙で製作
出演のおふたりが座る高座や、名前を記した“めくり”も和紙で製作

木戸銭(入場料)と引き換えにこちらをいただきました。粋ですね!
木戸銭(入場料)と引き換えにこちらをいただきました。粋ですね!

めくりの返しや、高座の座布団を整えるお茶子さんの服も和紙で出来ていました
めくりの返しや、高座の座布団を整えるお茶子さんの服も和紙で出来ていました

ところどころに和紙を使ったオブジェが
ところどころに和紙を使ったオブジェが

寄席の終了後に灯をともしたatelier 610の様子。「六一〇亭」という灯りの下には、この日の演目の紹介も
寄席の終了後に灯をともしたatelier 610の様子。「六一〇亭」という灯りの下には、この日の演目の紹介も

親子連れも多数参加したこちらの寄席では、落語家の笑福亭羽光さん、紙切り師の林家喜之輔さんが、小さなお子さんでも楽しめる落語と紙切りをお披露目。

まずは観客の心をほぐすために、羽光さんが扇子や手ぬぐいを使った“見立て”をユーモアを交えながら披露し、続く喜之輔さんは淡々としたトーンで(このおふたりのトーンの違いがまた最高!)子どもたちから紙切りのお題を募ったあとスイスイはさみを動かし、人気アニメのキャラクターや動物を作り上げていました。

そして、再び羽光さんが登場。子狸と人間のやりとが楽しい落語「狸(たの)さい」に大人も子どもも真剣な表情で聞き入り、時に笑顔を浮かべながら、羽光さんの落語をじっくり楽しんでいる様子でした。

落語家は客層を見てその日の落語を決めるそうで、この日は子狸が出てくる「狸(たの)さい」を楽しむことが出来ました
落語家は客層を見てその日の落語を決めるそうで、この日は子狸が出てくる「狸(たの)さい」を楽しむことが出来ました

子どもたちからお題を募り、トークをしながらチョキチョキ。あっというまに仕上がった切り絵は、お題を出したお子さんにプレゼント
子どもたちからお題を募り、トークをしながらチョキチョキ。あっというまに仕上がった切り絵は、お題を出したお子さんにプレゼント

会場は親子連れが多く、大人も子どもも笑顔に!
会場は親子連れが多く、大人も子どもも笑顔に!

寄席の終了後におふたりに感想をうかがったところ、羽光さんは「今後も継続していって、この寄席が定着するといいですよね。とても良い会場なので漫才なども合いそうです」、喜之輔さんは「お父さんやお母さん、そしてお子さんという客層が面白かったですし、とてもやりやすかったです」とのこと。

さらに「これだけお子さんが会場に集まるということは、子育てがしやすい環境なんでしょうね」と麻生区への印象も語ってくださいました。

住宅街の小さなアトリエで行われた今回の「紙すき寄席」。

羽光さんの言葉どおり、今後も定期的に開催されることを願っています。

最後に、主催の大友さんよりメッセージをいただきましたので、そちらもぜひご一読ください。

紙すき寄席 開催しました!

本物の芸人さんが二角形にやってきました!
お囃子に合わせて、ご登場。
まずは、落語がはじめて子たちに、落語教室。
扇子をつかって、
ズウッと、、、「何を食べているところでしょう?」
『納豆!』 『納豆!?!』
思いもよらぬ回答に会場も盛り上がり。
正解は『うどん』だけど、麺類でもそばやラーメンとも細かな違いがあると。
ピザもチーズをグーンっとのばーして食べてくれました。
落語は1人でやっているのに、誰かと話しているように感じさせたり、
小道具の扇子とてぬぐいだけに何かの動きを表現する。
とにかく「想像させること」、とっても想像力が試される世界を体験しました。

お次は、紙切り!
お題に合わせて、その周りの景色もおもしろいお話しとともに、
切ってくれました。思わず「おおっ」と声が出ちゃいますね。
和紙を切ってもらおうかとも思ったけど、
和紙は繊維があったり、はさみの切れ味が微妙に違ったり、
また実験してみるという課題ができました。楽しみ。
それにしても真っさらな紙にどんな風に見えてれば、
はさみ一本であんなにすらすら切れるのでしょう。
すごい技を間近で見る体験ができました。

最後は、落語「狸さい(たぬさい)」
かわいい子狸とサイコロの動きが目に浮かんで、臨場感のある和芸は圧巻でした。
今回は、多世代の方が一緒に会場に入りましたが、その会場がひとまとまりとなって、見入ってました。
「落語」や「紙切り」は、とにかクリエイティブな要素が満載の芸だと実感しました。
さいご子供達と一緒に写真をとってもらい、よい記念になりました。

紙すき寄席のテーマは、「とことん紙にこだわる。」
高座の毛氈、木戸銭チケット、提灯、めくりとスタッフ衣装も全部、紙で。
会場は、和紙の原料となるコウゾ、ミツマタの芯の部分で構成しました。
紙の原料となる皮をはいだ部分もきれいで、会場を華やかにしてくれました。
みんなと取り組んだ寄席文字があちらこちらに。
普通の紙と違って、和紙は、墨をよく吸うから、書き心地も違うらしい。
和紙ならではの力強い雰囲気が、とってもかっこよかった。
木戸銭チケットも色んな和紙で作り、ずっと思い出に残るように、
みんなの手元におとどけしました。
あとひとつ、紙は折りたためて、最後はコンパクトになる会場構成にもこだわりました。
そんな日本人らしい文化も和紙ならではの文化として取れ入れられそう。
また、いろんな実験をしてみようと思っているので、
今度は違う紙に出会えることを楽しみしていてください。

和紙が、切ったり、書いたり、折ったりいろんな技法と
残っていくといいなと思います。和紙を通して楽しい時間を笑顔で過ごせたのが、
何より嬉しかったです。また「紙すき寄席」開催できたら!

ライター&エディター/ロコっち新百合ヶ丘編集長(川崎市)

編集プロダクションを経て、フリーのライター&エディターとして活動。エンタメ系雑誌での執筆のほか、地域ポータルサイト「ロコっち新百合ヶ丘」の編集長を務める。最近では地元のクリエイターと共に結成した「TEAM MANTIS」(MANTIS=新百合ヶ丘を象徴するカマキリ像から命名)として映像制作をスタート。プライベートでは二児の母。ねこ好き、テクノ好き。DJ検定4級。

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