為替介入とは何か。米国や英国、ユーロとの介入方式の違いとは
円安を懸念するならば、介入すれば良いのではとの意見も聞かれる。それが現状、どうして難しいのかといった議論はここでは置いておいて、そもそも為替介入とは何であるのかを確認してみたい。
実はこれについては日銀のサイトを見ると一目瞭然であるのであるが、それの紹介とともに簡単に概要を説明してみたい。
「教えて!にちぎん」為替介入(外国為替市場介入)とは何ですか?
「為替介入(外国為替市場介入)は、通貨当局が為替相場に影響を与えるために、外国為替市場で通貨間の売買を行うことで、正式名称は「外国為替平衡操作」といいます。為替介入の目的は、為替相場の急激な変動を抑え、その安定化を図ることです」(「教えて!にちぎん」)。
つまり急激な円高ドル安となった場合に、政府・日銀が円を売ってドルを買うことで、急激な円高ドル安にブレーキを掛けるというものである。急激な円安ドル高の際には、政府・日銀がドルを売って円を買うこととなる。
介入は政府・日銀が行うとしたが、日本では為替介入は財務大臣の権限において実施することとされている。日銀は、特別会計に関する法律および日本銀行法に基づき、財務大臣の代理人として、その指示に基づいて為替介入の実務を遂行する、いわば実行部隊といえる。
「日本銀行は、財務省に対し、為替市場に関する情報を毎日報告しています。また、財務大臣が為替介入を必要と判断した旨の連絡を受けた場合には、財務省に対し、為替相場の変動要因や、介入決定の判断に資するようなマーケット情報を報告します。これを受けて、財務省は、日本銀行に対し為替介入実行の具体的指示を行い、日本銀行が介入を実施します」(「教えて!にちぎん」)
このため日銀による為替介入という表現は正しいようで正確ではない。介入の決定権はあくまで財務省にある。
為替介入は通貨間の売買であるため、その遂行には円やドルなどの資金が当然必要になる。「ドル買い・円売り介入」を行う場合には、政府短期証券を発行することによって円資金を調達し、これを売却してドルを買う。反対にドル売り・円買い介入を行う場合には、外為特会の保有するドル資金を売却して、円を買い入れる。
このため、ドル買い・円売り介入については、形式上は限度なくできることになる。これに対し、政府保有のドルは巨額であっても限度がある。
だから為替介入は有効かといえば、予想外のものであれば、一時的に大きな効果を与えうることもあるが、それが長続きすることはむしろ考えづらい。
日本では財務省が指示を出して、日銀が介入実務の執行をする。これに対し、米国や英国、そしてユーロ圏はどうなっているのか。これについても日銀は「教えて!にちぎん」にて解説を加えている。
上記をみるとわかる通り、たとえば米国の介入の決定は「財務省および連邦準備制度理事会(FRB)」、介入実務の執行は「ニューヨーク連邦準備銀行」。ユーロ圏については介入の決定は「欧州中央銀行(ECB)」、介入実務の執行は「ECB、各国中銀」となっている。