「あなた、胃がんかも」と言われて(下)
詳細結果が分かる問診日までの憂鬱な日々
(今記事は「あなた、胃がんかも」と言われて(上)の続きです)
逆流性食道炎の治癒状況確認のため胃カメラ検査をした当方。検査直後の医師からの説明で、胃がんの可能性があるため検体摂取をしたことを伝えられる。
検体検査も含めた内視鏡検査の詳しい結果解説は3週間後。検体検査を過去にしたことが無かったのも一因だが、結果が出るまでの期間の長さも、不安を募らせる要素となった。
親族にがんをり患した人は一人いるが、検査結果が出るのを待っている最中に実家から連絡があり、親族のがん経験者がもう一人加わり、しかも胃がんだった(幸いにも完治はした)と聞き、さらに不安が高まる。3週間も結果が出るまでに時間がかかるのは、状況的にまずそうに見えたので精密な検査を行うためのものなのか、しかし一目で危険な状況ならその場で判断して次の手を講じているはずだが、などさまざまな、飛躍した考えが頭の中でぐるぐると渦巻く。素人ながらの考え、不安が毎日の多分を支配することになった。
当然、食も進まず思考能力も低下する。がんに関する記事は何度となく自ら書いており、だからこそ内視鏡検査も「がんのチェックも出来るのなら」として受けたのだが、それが(可能性としてでも)現実のものになると、やはり不安を抑えることはできない。人としてまだまだ未熟であることを実感させられる。
そして結果の問診へ
検査結果通達の問診日。待合室の中で自分の番号が呼ばれるのを待つ時間の長さは、恐らく今まで体験したことのないレベル。予約時間から実際に呼ばれるまで20分も遅延したので、心配はさらに積み重なる。「もし胃がん宣告されたら、やっぱり第一声は『がーん』だろうか。医者もあ然とするに違いない」とマヌケなことを考えて心を落ち着かせようとするも、やはり動転している状況を覆すことはできない。
対峙した医者からの説明は次の通りだった。
「胃びらんの部分にがん性のものは確認できず、胃がんではない。ポリープもすべて良性で心配はしなくても良い」
「ただし来年も同じ時期に胃カメラで様子を見た方が良い(これは検査直後に渡されたプリントに書かれてあった通り)」
「逆流性食道炎の傾向は確認できない」
「胃がんではない」ということで一安心。「肩の荷が下りた」をリアルに体感した瞬間だった。来年もまた同じ時期に胃カメラを、とのことだったが、コストは多少割高でも拒否反応もほとんど無く、がん関連の詳細で精度の高い検査が出来るのなら、むしろ歓迎したい位である。
「がん」を身近に感じた一か月
胃カメラ検査の事前確認から最終結果の問診まで大体一か月。この間、「がん」という病症を身近に体感出来たのは、不幸中の幸い…と表現して良いのか、それとも「災い転じて福となす」と表すべきなのかは分からないが、ともあれ貴重な体験には違いない。
厚生労働省が毎年発表している「国民生活基礎調査の概況」の大調査(2010年調査が直近)によれば、40歳以上に勧められている胃がん検診の受診率は男性34%、女性で26%に過ぎない。また、他のがん検診も受診率は押し並べて低い。
当方はたまたま別経由(逆流性食道炎の治癒状況確認)でがんリスクと対面することになったが、普通の人はそのような機会は滅多に無い。会社の健康診断や自治体が提供する検診の機会で、是非ともがん検診も受診してほしい。時間が取れない、面倒くさいなどの理由もあろうが、心疾患や脳血管疾患と共に、日本の三大死因に「がん(悪性新生物)」が挙げられている以上(主要死因別に見た死亡率をグラフ化してみる)、他人事で済ます話ではないのである。
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