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帰ってきた歩(仲里依紗)のゆるキャラTシャツ着てても漂う凄み「おむすび」

木俣冬フリーライター/インタビュアー/ノベライズ職人
「おむすび」より 帰ってきた歩(仲里依紗) 写真提供:NHK

第8回では結(橋本環奈)が着ていたキャラT。キャラ名はcomeppi 写真提供:NHK
第8回では結(橋本環奈)が着ていたキャラT。キャラ名はcomeppi 写真提供:NHK

伝説のギャル 米田歩、実家に帰還

朝ドラこと連続テレビ小説「おむすび」(NHK)の主人公・結(橋本環奈)がなぜか嫌っている8つ年上の姉・歩(仲里依紗)が実家に戻ってきた。歩はかつて福岡で“伝説のギャル”と呼ばれていた

奔放な振る舞いで米田家に波乱を巻き起こし結はそんな姉を反面教師にしていた。でも歩がギャルになった理由があって……。「おむすび」は第4週「うちとお姉ちゃん」から本題に入っていく。

第4週、第16回。ギャル、ギャルと言われてきた歩だが、登場時は黒髪、清楚ワンピ、家着は結のお気に入りのTシャツでものすごくカジュアルでやや拍子抜け。歩はギャルに戻るときはあるのだろうか。

歩役の仲里依紗さんは「この作品で私はギャルのイメージをポジティブに変えたいなと思っているんです」と意気込んでいる。

脚本を読んでの感想

「最初にお話をいただいたときは、”伝説のギャル”役だと、ざっくりしたことしか聞いていなかったので、どういうことなんだろうって(笑)『本当に、朝ドラなのかな?』と、謎は深まる一方だったんですけれど、台本を読んでいくと、今この時代だから皆さんに届けられるメッセージが込められている朝ドラだなと思いました。朝ドラは、時代ものが多いイメージだったんですけど、今回は幅広い世代にとって記憶に新しい平成が舞台というチャレンジングなものなので、より若い世代にどんどん広がればいいなと思っています。「おむすび」のタイトルどおり、早くお家に帰ってごはんを食べようという気になるというか、家族と食卓を囲むことの大切さを思い出せて、食育としてもいいなと思える作品です」

米田歩について

「歩は、その名前のとおり、自分の道を歩んでいるなと、演じていて感じます。家族とのつながりを主人公の結が結んでいくなら、歩は我が道を行くというか、長女らしからぬ、どんどん進んでいっている感じです。抱えているものはあるんですけど、それを跳ね返すような明るさもある。登場シーンでは、『何だ、この子は?』と思うくらい明るかったりするんです。心がちょっと負けそうなときって、逆に明るくしちゃうことが、私自身にもあります。多分、歩にもそういう感覚があるんじゃないかと感じています。

歩は平成を生きてきた年代で、私自身も平成元年に生まれたので、演じながら歩と共に成長してきた感覚もあります。歩は”伝説のギャル”と言われていますが、外見とか、そういうものだけじゃないんですよね。歩の人間性だったり、歩自身が周囲の人に与えた影響だったりが、ギャルの中で噂とあいまって伝説になっていたんだろうなと思っています」

歩と結の姉妹関係

「いろいろな姉の行動で、結は苦しめられてきたと思います。結と歩は性格的にもまったく違うし、本当に嫌な部分もあったでしょう。でも、どこかで歩を羨ましく思う気持ちが結にはあるんじゃないかと思います。

妹が姉に思うことだったり、姉が妹に思うことだったりは、私も実際に三姉妹だからわかるんです。姉は姉で、妹っていいなと思うんですよ。でも、妹は絶対に『お姉ちゃんばっかり』『お姉ちゃんのせいで』と思っていると思います。どこの姉妹でも起こりうることだと思うので、歩にとっても、結は羨ましい存在でもあるし、ちょっと面倒くさいなと思うこともあったり…それでも、すごく大切な存在なのだと思います。両親との関係性とはまた違った大切さですよね。特に妹の結(橋本環奈さん)とのシーンはお姉ちゃんらしさが出ていると思います。派手だし、飛び回るし、はたから見たらそう見えないかもしれないけれど(笑)、歩は結の道をしっかり作ってあげたいと思っている、良いお姉さんだと思います」

視聴者へのメッセージ

「“伝説のギャル”という役柄ですが、なぜ歩がギャルになったのか、その経緯の部分をぜひ視聴者の方に注目していただきたいです。

この作品で私はギャルのイメージをポジティブに変えたいなと思っているんです。ギャルというと見た目がすごく派手で、プラスではないイメージを持っている人もいると思います。でもギャルは部屋・服装・ネイルを見ても、全部自分のためにやっているんです。自分の機嫌は自分で取る。みて下さる方々に、誰のためにでもなく、自分がベストでいられることの大切さが伝わればいいなと思います。上の世代の方にも、『人は見た目によらず。ギャルもすっごく良いじゃん!』と思ってもらえるきっかけになってほしいです。

また、これから阪神・淡路大震災当時についても描かれていきます。当時被災された方だけでなく、その後に東日本大震災や能登半島地震などもあり、思い出したくない方もいらっしゃると思います。どう伝えたらいいんだろうと悩む部分もありますが、こういうことがあったと伝えなきゃいけないし、忘れてはいけないと思うんです。災害は、忘れた頃に来るじゃないですか。また同じようなことが起こるかもしれないし、日本に住んでいる以上、付き合っていかないといけない。皆さんが改めて考えるきっかけになったらと思っています」

気になるキャラcomeppiは美術スタッフがわざわざ作ったオリジナルキャラ。

第1回で、結が同級生の宮崎恵美(中村守里)とおそろいと言っていた、カバンにつけていたおまもり、第3回、結の部屋のぬいぐるみ等、あちこちに登場する。

設定としては「おむすび」の世界の人気キャラクターで、よく見ると結やハギャレンメンバーの持ち物がcomeppiグッズになっている。

結が「お気に入り」と言っていて、歩も平然とこのTシャツを選んでいて、なんだか微笑ましい。このキャラが好きな人に悪い人はいないような気が勝手にしている。

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連続テレビ小説「おむすび」
毎週月~土曜 午前 8時00分(総合)※土曜は一週間を振り返ります

/ 毎週月~金曜 午前 7時30分(NHKBS・BSP4K)

【作】 根本ノンジ

【主題歌】 B’z 「イルミネーション」

【語り】 リリー・フランキー

【音楽】 堤博明

【出演】 橋本環奈 仲里依紗 佐野勇斗 麻生久美子 宮崎美子 北村有起哉 松平健 ほか

フリーライター/インタビュアー/ノベライズ職人

角川書店(現KADOKAWA)で書籍編集、TBSドラマのウェブディレクター、映画や演劇のパンフレット編集などの経験を生かし、ドラマ、映画、演劇、アニメ、漫画など文化、芸術、娯楽に関する原稿、ノベライズなどを手がける。日本ペンクラブ会員。 著書『ネットと朝ドラ』『みんなの朝ドラ』『ケイゾク、SPEC、カイドク』『挑戦者たち トップアクターズ・ルポルタージュ』、ノベライズ『連続テレビ小説 なつぞら』『小説嵐電』『ちょっと思い出しただけ』『大河ドラマ どうする家康』ほか、『堤幸彦  堤っ』『庵野秀明のフタリシバイ』『蜷川幸雄 身体的物語論』の企画構成、『宮村優子 アスカライソジ」構成などがある

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