光回線は6割を超えて増加継続…自宅パソコンなどのインターネット接続回線の種類をさぐる
・インターネットの普及率(過去1年間にインターネットを利用したことがある人の率)は77.8%(2017年9月末)。
・自宅のパソコンなどによるインターネットへの接続回線はブロードバンド回線がメイン。2017年時点では96.9%。ナローバンド回線は1割にも満たない。
・光回線の普及率はパソコンなどによるインターネットの利用世帯限定で61.1%
インフラとしてのインターネットの整備は進んでいるが、その中身もナローバンドからブロードバンドへと大きな変容を遂げている。その実情を総務省の通信利用動向調査(※)の最新版の結果から確認する。
今調査によると、2017年9月末時点のインターネットの普及率(過去1年間にインターネットを利用したことがある人の率)は77.8%。この調査結果における「インターネット利用」とは、6歳以上、過去1年間にパソコン・携帯電話(従来型携帯電話だけで無く、スマートフォンやPHS含む)・家庭用ゲーム機・タブレット型端末などあらゆる端末で、インターネットにアクセスすることを意味している。アクセス対象の機器を自分が保有しているか否か、利用目的が私的か仕事上のものか、あるいは学校の学習用であるかなどは問われていない。学校の授業でのみ利用したとしても、携帯電話経由のみの人も「利用者」に該当する。
他方、自宅のパソコンなど(タブレット型端末、インターネットテレビなども含まれる。携帯電話やスマートフォンの「単独・直接利用」は、今件では含まれない)でインターネットに接続する際、その接続回線の種類はブロードバンド(光、DSL、ケーブルテレビ、携帯電話回線など)・ナローバンド(ISDN、電話回線によるダイヤルアップ、PHS回線)のいずれなのかを記したのが次のグラフ。
複数回答なので双方を並列導入している場合もあるが、ナローバンド回線は2007年から2010年の間は、確実に普及率が減っている。しかしそれを底として、それ以降は若干ながら増加の動きを示していた。ところが2013年以降は大きく減少しているのが確認されている。なお今件項目の調査対象母集団は「自宅からパソコンなどでインターネットを利用した世帯」であることに注意。
ブロードバンド回線の普及率(インターネット接続世帯比)は最新値の2017年で96.9%。パソコンなどでインターネットを使っている世帯では、ほぼすべての世帯が導入している計算になる。データが開示されている最初の年2006年から2017年までに30%ポイント近く増加しており、確実な普及の様子がうかがえる。
入れ替え的な立場に見える「ナローバンド普及率」と「ブロードバンド普及率」の伸縮を比較すると、後者の伸びがやや鈍いのは、インフラの整備が遅れていること、「ブロードバンド・ナローバンド双方を使用している人が後者の利用を取りやめたのみで、ブロードバンドは元々利用していた事例があり、その場合はブロードバンドの普及率向上には換算されない」と考えることができる。さらに加えるとPHS回線の増加に伴い、ナローバンド回線の利用世帯率が一時的に底上げされていたのも一因。ただし2013年においてはこの微妙な位置関係は大きく変わり、ブロードバンドが大きく伸びて、ナローバンドが大きく落ちる結果となり、その状況は直近年まで継続している。
ブロードバンド・ナロードバンド双方で、具体的にどのような種類の回線を利用しているのかを示した利用率グラフが次の図(一部項目のみを抜粋)。
かつて日本においてブロードバンド環境を加速度的に浸透させ、一世を風靡した、ADSLに代表されるDSL回線はその普及率を下げ、一方で光回線が急速に伸びを見せている。
最新のデータとなる2017年分においては、光回線が伸び、携帯電話回線が落ちた以外は、ほぼ横ばいを維持。DSL回線の2016年分はイレギュラーだったのだろう(最古の値となる2006年の27.7%からは2割強にまで減少している)。
携帯電話回線の2013年における過激なまでの伸びによる高い値は、やや落ちを見せてはいるがほぼそのまま維持されている。これはデータを精査した限りではLTEや、WiMAXなどのBWA回線を利用して、パソコンやタブレット型端末でアクセスしている人によるところが大きい。
トップの光回線の普及率はパソコンなどによるインターネットの利用世帯限定で61.1%。2017年でも「5世帯に3世帯」「過半数」の域に達してるが、かつてのような加速度的な普及率上昇では無い。やはり機動性・柔軟性に優れたWiMAXなどに目が移るのは仕方の無い話か。今後も自宅の固定回線でのブロードバンド化が進むには違いないものの、パワーバランスには小さからぬ変化が生じるに違いない。
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※通信利用動向調査
2017年分は2017年11月~12月に世帯向けは都道府県および都市規模を層化基準とした層化二段無作為抽出法で選ばれた、20歳以上の世帯主がいる世帯・構成員に、企業向けは公務を除く産業に属する常用雇用者規模100人以上の企業に対し、郵送・オンラインによる調査票の配布および回収の形式によって行われている。有効回答数はそれぞれ1万6117世帯(4万1752人)、2592企業。調査票のうち約8割は回収率向上のために調査事項を限定した簡易調査票が用いられている。各種値には国勢調査や全国企業の産業や規模の分布に従った、ウェイトバックが行われている。過去もほぼ同様の条件下で実施されている。
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