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日本から主要5か国への親近感の推移をさぐる(2019年公開版)

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
↑ 日本から見た諸外国への親近感は?(写真:アフロ)

内閣府が定期的に調査・発表している「外交に関する世論調査」(※)では、日本の諸外国への親近感を公開している。米露中韓印に的を絞り、その長期的な推移を確認する。

今調査では対象国に対する親近感に関して回答者に「親しみを感じる」「どちらかというと親しみを感じる」「分からない」「どちらかというと親しみを感じない」「親しみを感じない」の5選択肢を提示し、その中から1つを選んでもらっている。今件ではこのうち前者2つ「親しみを感じる」「どちらかというと親しみを感じる」を合わせた値を「親近感」と位置付け、その推移を見たもの。なおインドは1991~2007年は「南西アジア諸国(インド、パキスタンなど)」と尋ねているため、厳密には連続性は無い。

↑ 主要国への親近感推移(「親しみを感じる」「どちらかというと親しみを感じる」の合計)
↑ 主要国への親近感推移(「親しみを感じる」「どちらかというと親しみを感じる」の合計)

アメリカ合衆国への好感度は押し並べて高い。一方中国は全体的に右下がりで、この40年ほどの間に1/2から1/3ほどまでに減少しているのが一目瞭然。他方、ここ数年の持ち直しはトレンド転換を予見させる。

ロシアは10%強を低空飛行していた。1990年前後に一時的に盛り上がりを見せたが、すぐに急降下。2000年前後からは再び上昇しているが、これはプーチン政権の発足と対日融和政策によるところが大きい(特に当時の日本の小泉首相の仲のよさはテレビでも繰り返し伝えられており、これがポジティブに働いている)。さらに2012年以降は再び大きく上昇し20%前後を維持している。ロシアの大統領選挙が2012年3月に実施され、ウラジミール・プーチン氏が当選したこと、それに伴いプーチン氏が再び日本のメディアに登場し、好意的な印象を与えているのが継続して影響しているものと考えられる。

最近では2014年に発生したウクライナ騒乱、クリミア危機、さらにはロシアの直接・間接的軍事侵攻を受け、負のイメージが生じた結果として、同年以降は下落を示していたが、直近年では再び持ち直しの動きを見せた。

韓国やインドは基準値こそ違えども同じようなカーブを描いて上昇中だった。ただし2009年以降韓国は頭打ち、そして2011年から2012年にかけて大幅な下落を記録し、2014年もさらなる急落、2015年以降はようやく持ち直しを示したが、直近年の2019年では急落し、過去最低値を示す形となった。原因は先行記事でも触れた通り、韓国海軍レーダー照射問題や半導体素材の輸出管理の問題などで韓国側が見せている理不尽な姿勢によるものであろう。

中国は尖閣諸島と反日暴動、ガス田、小笠原諸島のサンゴ違法搾取、沖縄や尖閣諸島などの問題をはじめとする日中間の直接の対立に加え、南シナ海の人工島造成問題など、韓国は竹島、さらに双方の国とも強圧的・理不尽な外交姿勢・対日経済施策が大きく影響しているものと考えれば、2012年以降における急落の納得はできる。ここ数年の回復は単なる「のど元過ぎれば」の類か、それともトレンド転換の動きか。

ここ数年の中韓の上昇ぶり(直近年で韓国は大きく落ちたが)は報道頻度など情報の伝達ウェイトが軽減した結果によるところが大きく、中韓それぞれに対する親近感減少の要因が解決に向けて動いているわけではないことを留意しておく必要がある。

注意すべきは「親しみを持たない」が「マイナスのイメージを持つ」には直結しないこと。単に親近感を持つ・持たないに関して判断するだけの材料が無い、認識度が薄い可能性も多分にある。ロシアをはじめとした旧共産国や日本から距離的に遠い国で親近感が薄いのは、多分になじみが薄いのも要因なのだろう。

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※外交に関する世論調査

2019年10月19日から10月30日にかけて、全国18歳以上の日本国籍を有する人の中から層化2段無作為抽出法によって選ばれた人に対し、調査員による個別面接聴取法によって行われたもので、有効回答数は1608人。男女比は748対860、年齢階層別構成比は10代38人・20代126人・30代166人・40代262人・50代263人・60代299人・70歳以上454人。過去の調査もほぼ同様の様式で行われている。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

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(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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