「これがあれば続けられた」出産で退職を余儀なくされた女性たちの想い
育児休業制度はあるものの、内容が不十分であったり職場の理解が足りなかったり、さらには復職後の業務に不安を覚えるなど、多様な理由で妊娠・出産を機に職を辞してしまう就業女性は多い。それではどのような環境なら、彼女らは(育児休業などを活用し)就業を継続できたのだろうか。
内閣府男女共同参画局が2013年12月に発表した「ワーク・ライフ・バランスに関する意識調査」では、第1子妊娠が分かった時には就業中(正社員・非正社員を問わず)で、就業継続を望んでいたが、その子が1歳になった時には就業していなかった、つまり妊娠から出産の過程で退職してしまった、回答時点でその子供が6歳未満の女性に対し、「どのような状況ならば仕事を継続していたと考えているか」について尋ねている。その結果が次のグラフ。あくまでも退職女性自身の考えであり、これが唯一の正解では無いことに注意が必要となる。
もっとも多くの人が考えている、「これがあれば自分は仕事を続けられていたかも」との内容は「保育園などに子供を預けられれば」で55.9%に達していた。見方を変えれば「仕事の継続を望んでいたが、子供の出産に際して退社せざるを得なかった人の多くは、その子供を保育園に預ける環境を確保できなかった」ことになる。保育園の不足、待機児童の発生は社会問題化しており、行政をはじめ各方面で対応が進んでいるが、単純な数の多少だけでなく、マッチングの観点も含め、まだ十分な状況にないことが、この結果から分かる。
次いで同意者が多い項目としては「短時間労働など、職場に育児との両立支援制度があれば」「職場に仕事と家庭の両立に対する理解があれば」「休暇が取りやすい職場だったら」が続いている。まとめると制度的、そして社内の雰囲気的に、仕事と家庭(育児)の両立に関する理解・対応が成されておらず、それが原因で辞めざるを得なかったことになる。
少々回答値は落ちるものの(それでも2割近くは居る)「職場で妊婦や育児に関する嫌がらせが無ければ」という、対象となる女性にとっては深刻な社内問題を理由とする回答もある。これもまた「理解」が成されていないがための状況であり、同時に大いに問題視されるべきものといえる。
トップの「保育園」は行政上の問題、そして第2位以降は会社側の問題。この2方面が主に「就労継続を希望する女性が、妊娠・出産を経て会社を辞めねばならなくなった理由」を生み出している、少なくとも当該女性はそのように考えている。行政面は各関連方面へのさらなる努力に期待したいが、一方で企業面については、女性の就労(継続)促進を望む企業は大いに気を付け、対策を練り、状況改善を果たして欲しいものである。
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