ホテル稼働率70パーセント超に「まるで信じられない」“真冬のリゾート軽井沢”の魅力
夏の避暑地として高名な軽井沢ですが、避暑地だけに冬は寒いです。平均気温は氷点下、マイナス10度を下回るのも当たり前です。雪は多くありませんが、夏の賑やかさとは正反対の静かな雰囲気に包まれます。こんなことを書くのもいまから15年くらい前、軽井沢に定住していたことがあり、至極個人的には“冬の軽井沢ラヴァー”なのです。北欧ってこういう雰囲気なのだろうか(行ったことはありませんが)と思いを巡らしたりします。
その昔、フジテレビで「ワーズワースの冒険」という番組があって、「真冬のリゾート~軽井沢で優雅な週末~」という放送回がありました(1996.2.18放送)。当時から一部の間では冬の軽井沢が注目されていたのかもしれませんが、その後の新幹線開通と移住者の増加、通年営業する飲食店や施設も増え、冬の魅力にもフィーチャーした運営も際立つ星野リゾートの存在もあって、冬でも愉しめるエリアになっていったことは確かでしょう。特に近年の“冬軽井沢の都会化”には目を見張るものがあります。
宿泊施設でいえば、以前から冬期休業もあったエリアでしたが、最近出向くと賑わいが際立ち、人気ホテルを中心に稼働率が高くなっている様子が伝わってきます。夏と比べれば確かにADR(平均客室単価)は低いわけですが、とあるホテルの支配人によると「今冬の稼働率は70パーセントを超えており、これまでになかった数字です」と話していました。
今回、改めて真冬のリゾート軽井沢の魅力を感じるべく出向いてみました。特に夏には行列で諦めてしまうような人気の飲食店へも楽々入店、手ぐすね引いて!?ゲストを待つ静かなホテルでは厚きおもてなしが待っていました。定住しなくなり縁遠くなったいまでも“冬こそ軽井沢”と時に出向く、真冬の軽井沢の魅力をお伝えしたいと思います。
ゆったりご馳走がいっぱい
まず国道18号線沿いの好立地にある「Oggoso」(おごっそは長野の方言でご馳走という意)へ10年ぶりくらいに再訪。楕円形カウンターはひとりでも居心地良くまったりできます。ここにはその昔、軽井沢としては貴重だった回転寿司があったのですがクローズし、その跡に開業した当時としては斬新なコンセプトのお店で、すっかり気に入り当時足繁く通いました。今回はランチタイムでしたが、ご自慢というシャモのスパイスカレーが素晴らしかった。
星野エリアの人気ステーキ店である「カウボーイハウス」。夏は果てしなきウェイティングの混雑ですが、ゆったりした雰囲気でカウボーイの合い言葉“男は黙って300グラム”も名物マスターとゆったり話しながらせわしなく満喫できます。なんといってもステーキ肉の副産物とも言って良いニンニクと赤唐辛子のスープは絶品です。
軽井沢グルメ通りといわれる塩沢通りのバイパス近くにある「無限」も素晴らしい。落ち着くカウンターならひとりでもまったりできます。イメージとしてはビストロ風ですが、和洋バラエティに富むリーズナブルな黒板メニューが驚愕。ファンを引きつけて放さない昔からの常連さんも多い秀逸な一店です。真冬の軽井沢にはゆったりほっこりご馳走が溢れています。
軽井沢におけるプリンスホテルは、その広大な面積と共に圧倒的な存在感を誇ります。真冬でもしっかり営業しているのはある種の安心感でもあります。軽井沢駅に近いことはもちろんですが、真冬も営業している人気のアウトレット(軽井沢・プリンスショッピングプラザ)も冬の軽井沢へ人を引きつけるひとつの要素でしょう。今回の宿泊は南側の「ザ・プリンス 軽井沢」へ。浅間山を望む静かな客室で過ごすのは、個人的真冬の軽井沢定番のステイ。ひとり執筆や読書といった時間も格別です。
旧軽井沢で豊かな冬時間
次に出向いたホテルは「トゥインラインホテル軽井沢」。軽井沢駅と旧軽井沢ロータリーのちょうど中間地点である東雲交差点に立地。ある種、軽井沢の中心というロケーションです。夏の印象も強いホテルですが冬はどんな表情を見せるのだろうかと再訪。通りに面したダイニング(ホセ・ルイス軽井沢)やラウンジなど、リゾートにして都会的という点で冬でもポテンシャルの高さを感じます。客室のタータンチェックと着けていたマフラーが何となくシンクロ。冬の雰囲気も絶対最高のホテルという想像は間違いなかった。
そもそも軽井沢の夜は早いですが(コンビニも閉まってしまう)、夏ならまだしも冬はさらにお店も限られます。冒頭に書いたように、昔に比べると通年営業のホテルや飲食店は増えましたが、やはり冬期休業はある種の十八番。夏ならまず近づかない(もちろん美味しいですか絶望的な混雑で)旧軽井沢ロータリーの川上庵は冬でも遅くまでやっている救世主です。有名すぎるお店だからこそ夏と比べつつ冬に出向くと新たな発見もあります。
ところで、トゥインラインホテル軽井沢を運営するカトープレジャーグループでは、“軽井沢ドミナント化”がすすんでおり、2つの「ふふ」も誕生しました。「ふふ 旧軽井沢 静養の森」は“しっとり・シック・質感高き”タキザワ的ホテル3Sの極地。調度品をはじめドアひとつから照明に至るまで、溢れる気遣いはさすがふふクオリティーです。本棟・客室棟はテラスを囲むように配されていますが、そのテラスは名付けて“KUMOMA TERRACE”。元軽井沢住人としてはよくぞこんな場所にふふが・・・そうです雲場池至近という軽井沢でもまさに静養という名が相応しい奇跡ともいえる立地です。
県境越えて北軽井沢へ
東西南北冠するいろいろ軽井沢にあって、北軽井沢というのは本家長野県の軽井沢から県境を越えた群馬県ですが、別荘地としての歴史は古く、車や建物が増えている軽井沢よりも涼しいという人も多く、避暑地としてファンも多いエリアです。
ご当地で人気の「あやめ亭」は素材の旨味をじっくり味わえるお店。以前旧軽井沢近くの三笠通り沿いにあって、美味しいのはもちろんご主人と奥様の人柄に惹かれ通ったのですが、4年前に北軽井沢へ移転してからは出向くことも少なくなってしまいました。とはいえ北軽井沢へ行ったら絶対訪れたいお店。自家製とうもろこしと嬬恋牛乳で仕上げたコーンスープは変わらぬ味です。
北軽井沢でホテルといえば、やはり感動迫力の浅間山眺望の「軽井沢倶楽部 ホテル軽井沢1130」でしょう。1130と書いて“イレブンサーティー”と読みますが、標高1130メートルに位置する高原リゾートホテルです。サウナに水風呂も擁するポテンシャル高き天然温泉大浴場は、冬に訪れる1130の楽しみですが、浅間山を望む天然温泉の客室ジャグジーでも温まりまくり。冬ならではの冷気がよりいっそう心地よいです。ホテルのご自慢がホテル屋上にある「パノラマテラス」。浅間山をはじめとした多くの山々を望むことができます。高原テラスで体感する四季折々の自然の絶景は最高ですが、空気の澄んだ冬は密かな魅力。雪景色にキラキラ輝く樹々のパウダースノー、そして感動的な星空も澄んだ冬の空気ならではです。
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長閑の憂鬱も都会の喧噪もない“東京24区”ともいわれる軽井沢。凜とした冬には夏の賑やかな軽井沢とは違った表情を見せ、またその魅力を発揮します。
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