横浜流星×吉岡里帆が語る“信じられる人の条件”「大切なのは相手の領域に土足で踏み込まないこと」
人生を楽しむためにも、私はこの世界を信じたい
――この映画は、どんな絶望の淵に立っても、それでもこの世界を信じる希望を感じさせてくれる作品だと思います。私たちの生きている世の中は嘘や不正も多いのが現実。それでも、映画のようにお二人はこの世界を信じたいと思いますか。 吉岡 私は信じたいです。今自分が生きている世界を信じられないってつまらないなと思うんです。人生は短いと思っているので、その短い時間を楽しむためにも、信じた方が良いのかなって。だから、どんなときもいいとこ探しをよくするようにします。綺麗事かもしれないけど、悪いことではなく、なるべくいいことに目を向けて生きていたいです。 横浜 吉岡さんの言う通りで、僕たちはいつ死ぬかわからない。だから、そのときが来たときに後悔のないようにしたいなっていう思いは僕にもあります。じゃあ、後悔のないように生きるために大事なのは何かと言うと、自分が選択したものを信じて大事にすること。 吉岡 結局自分を信じるに尽きるよね。 横浜 そう思います。確かにこの世の中は嘘とか汚いことで溢れているかもしれません。でも、スケールのデカい話になっちゃいますけど、今より遥か昔の時代を生きてきた人たちがこの世界を守って残してくれたから僕たちは今こうやって生きているわけで、それってすごく素晴らしいことだと思うんです。僕は、その一部にいれることを幸せだと思う。その人たちがいなかったら、今の僕たちはいない。そう考えたら、たくさんの人が守ってくれたこの世界を信じてみたいなと思えるようになりました。 ――じゃあ最後に、人から信じてもらえる人であるために、お二人が日々の生活で心がけていることを教えてください。 横浜 礼儀と敬意ですね。どんな魅力的な人でも、それがない人とは一緒にいられないかもしれません。だから、まずは挨拶から。 吉岡 大事ですよね。 横浜 やっぱりすべては挨拶から始まるので、どんなに忙しくても疲れていても欠かさないようにしたいです。 吉岡 私は自分の我を押し通さないこと。特に仕事では、相手がいて初めて自分がいると思うようにしています。相手が何を望んで、どういうふうにしていきたいと考えているのかを知ること。そのためにも、対話を大事にしたいし、相手に対して本気で興味を持って本気で向き合うようにしたい。つまりそれは、相手の領域に土足で踏み込まないということと同じかもしれません。どんなに自分の中でこうしたいという強い気持ちがあったとしても、それが相手にとって不快な距離感だったら意味がない。何を伝えるにしても土足で踏み込まないことは大事にしています。 横浜 素敵すぎます。勉強になりました! 取材・文:横川良明 <作品情報> 『正体』 11月29日(金) 全国公開 原作:染井為人『正体』(光文社文庫) 出演: 横浜流星 吉岡里帆 森本慎太郎 山田杏奈 前田公輝 田島亮 遠藤雄弥 宮﨑優 森田甘路 西田尚美 山中崇 宇野祥平 駿河太郎 / 木野花 田中哲司 原日出子 松重豊 山田孝之 監督:藤井道人 脚本:小寺和久、藤井道人 配給:松竹 レーティング:PG12 (C)2024 映画「正体」製作委員会