堤聖也（右）とジェーソン・モロニー

　ボクシング7大世界戦＋那須川天心WBOアジアパシフィック王座決定戦（13・14日）第1日、13日のメインイベントWBAバンタム級タイトル戦では、挑戦者の堤聖也（角海老宝石）が大激戦の末に王者・井上拓真（大橋）を破り新王者となった。そんな堤には南半球から強力な援軍が駆けつけていた。 5月に東京ドームで小差判定で武居由樹（大橋）に王座を奪われるまでWBO同級王者だったジェーソン・モロニー（豪州）が、9月中旬から来日。1カ月にわたってスパーリングパートナーを務め、今回の試合でもリングサイドから声援を送っていた。 　「5月の試合前に堤聖也が豪州に来て、スパーリングパートナーとしてサポートしてくれた。今度は自分が支える番だ。井上拓真と自分は似たタイプだからね」とモロニー。2022年にはWBA・IBF統一同級タイトル戦として現世界4団体統一スーパーバンタム級王者の井上尚弥（大橋）とも対戦（7回KO負け）。「井上のボクシングは知っている」と、自ら堤に連絡を取りサポートが実現した。 　モロニーが来日した理由はもう一つある。井上尚弥（大橋）の存在に加えてバンタム級でも主要4団体の王座を独占するなど、軽量級を席巻する日本のボクシングを間近で見て学び、そして彼らと対戦することだ。 　「強さの理由を知りたかった。走り込み練習のきつさや、新人王というシステムは新しい発見だった。聖也をのぞいていまバンタム級で一番強いのは（WBC王者）中谷だと思う。ぜひ戦いたい。強い相手とやりたいんだ。だから井上尚弥とも対戦した」と、モロニー。堤の世界奪取を手助けした前王者は、日本人が独占するバンタム級の世界戦線に挑んでいく。