危険因子を知っておこう。腎機能を見極めるコツ(専門家が監修)
腎臓リスクを知っておく
僚友の肝臓は、たとえ手術で一部を切り取ったとしても、再生する能力を秘めている。肝臓は、臓器中で唯一再生力を持っているのだ。 ところが、肝臓に負けず劣らず重要なはずの腎臓には、肝臓のような再生能力はない。一度失った機能は容易に取り戻せないのだ。 「だからこそ、一体何が腎臓を痛めつける危険因子となってしまうのか、それを知っておくことが、何よりも重要です」(川村先生) それを端的に示しているのが、下の一覧。じっくり眺めてみよう。 明確なシグナルとなるのは、健康診断などでわかる蛋白尿や血尿の有無。それらがあると、慢性腎臓病が悪化する相対危険度は最大2倍にも跳ね上がる。
慢性腎臓病を進行させる危険因子
慢性腎臓病がステージG3~G5に進む危険因子を、男女別に調べたもの。蛋白尿、血尿、高血圧、糖尿病、善玉コレステロールの少なさ、喫煙などが挙げられる。
続いて高いリスクとなるのが、高血圧。次に気をつけたいのが、糖尿病。 糖尿病とは、血糖値を下げるインスリンというホルモンの働きが落ちた結果、血糖値が高くなりすぎて下がらなくなる病気。血糖値が高い高血糖が続くと、血管にダメージが加わりやすい。ことに細い血管ほど高血糖には弱く、腎臓の毛細血管もこっぴどくやられる。 糖尿病になってから平均10~15年くらいで、糖尿病によって腎臓が悪くなる糖尿病性腎症に陥りやすい。糖尿病性腎症は、新たに血液透析を始める原因疾患の第1位であり、その数は年間1万6000人に上る。要注意だ。むろん喫煙や飲酒も避けるべきだ。
取材・文/井上健二(初出『Tarzan』No.870・2023年12月14日発売)