33歳「ルーキー」が逆転勝利の立役者に SAGA久光スプリングス開幕2連勝【SVリーグ女子】
バレーボールの新リーグ「大同生命SVリーグ」女子は14日、久留米アリーナ(福岡県久留米市)などで行われ、昨季のVリーグで年間6位(レギュラーラウンド3位)のSAGA久光スプリングスが開幕2連勝を飾った。 ■SAGA久光スターティングメンバー KUROBEアクアフェアリーズを相手にセットカウント3―2(24―26、18―25、25―15、25―23、16―14)で逆転勝ち。次節19、20日はヴィクトリーナ・ウインク体育館(兵庫県姫路市)でヴィクトリーナ姫路と戦う。 SVリーグの女子は14チームが参加。ホームアンドアウェー方式で44試合を戦い、上位8位までが来春のプレーオフに進出。トーナメント方式で初代女王の座を争う。 今季新加入した渡邊彩は、キャプテンのセッター栄と同じ1991年4月生まれだ。リーグ開幕前の9月末に開催されたファンとの交流イベントの席で「最年長ルーキーです!」と自己紹介したミドルブロッカーは、2セット目から登場。名前の「彩(あや)」が「イロどりのあや」と書くことから、SAGA久光入団を機にコートネームを「アヤ」から「イロ」に変更した33歳が劇的な逆転勝利を彩った。 酒井新悟監督の「相手にスパイクを決められていたので、オフェンスで点を取りたい」との期待に応え、持ち前のスピードを駆使した速攻やブロード攻撃でリズムを呼び込んだ。この試合、アタックで15打数6得点。さらに渡邊がおとりになって相手ブロッカーの注意を引き、そこに生じた守備のほころびを、あうんの呼吸でアタッカー陣が的確に突いた。 「自分の機動力で相手を惑わせて、スパイカーを4枚生かすためのアプローチを取ることを意識しています。ミドルとして背が低い(身長176センチ)分、ワンタッチをたくさん取って(相手のスパイク)コースを限定させることも自分の仕事です」 第4セットには9―10から会心のブロックポイントを決めるなどコート内で躍動。自らの得点のたびに、栄と抱き合う姿も印象的だった。これまでトヨタ車体クインシーズ(現クインシーズ刈谷)や日立Astemoリヴァーレ(現Astemoリヴァーレ茨城)などでプレーしてきた渡邊にとって、SAGA久光には特別な思いがあった。それは栄の存在だった。「エリカ(栄の愛称)とは長年、対戦相手としてやってきて、ミドルの使い方が絶妙だなと感じていました。エリカが(トスを)上げてくれたら、自分ももっと生きるだろうなとずっと思っていて…冗談交じりで『一緒にやれたらいいね』と言っていたんで。それが現実になって、こうやって生かしてもらっています」 2024年度の女子日本代表メンバーに選出され、ネーションズリーグでもプレーした。強固な意志さえあれば、何歳になっても成長できる。己の可能性を信じる百戦錬磨のスピードスターが、忘れられない勝利の味とともに新天地でたしかな一歩を踏み出した。(西口憲一) 【#OTTOバレー情報】
西日本新聞社