アギーレJがシステム変更で見せた自立力
オーストラリア戦の先発メンバーは、6対0で大勝した14日のホンジュラス戦から右ひざに違和感を訴えたDF内田篤人(シャルケ)がDF太田宏介(FC東京)に代わっただけにとどまった。太田が左サイドバックに、ホンジュラス戦で左サイドバックを務めたDF酒井高徳(シュツットガルト)が右に回った。 6枠あった交代も今野を含めた3人と、公式戦をにらんだ選手起用となった。連覇を目指すアジアカップへ向けた最後の実戦の場で、テスト色を極力排除したアギーレ監督の意図はどこにあるのか。選手の「自立度」が見極められた結果、オーストラリア戦の先発メンバーから右サイドバックに内田、左に今回は招集されていない長友佑都(インテル)がアジアカップを戦うベースとなった点に他ならない。 仮定の話になるが、長谷部以外の選手がアンカーを務めていた場合、ピッチ上で「自己修正能力」を発揮できたかどうか。アギーレ監督は「ヒントは与えるが、それをピッチの上で発展させるのは選手だ」を持論としている。例えばホンジュラス戦を受けて行われたミーティングでは、よかった点と悪かった点を振り返りながら、長谷部によればこんな指示があったという。 「この場面ではファウルで相手を止めたほうがよかったと、具体的に言われました」。 攻撃に関しても意識付けはするものの、守備面同様に戦術的な指示はなし。ホンジュラス戦でアギーレ体制下での初出場を果たした内田は、試合後にこう振り返っていたほどだ。 「ベンチからの指示があまりなかったので、自由にやった。細かい指示はないし、自分たちで考えてやっちゃっていいのかなと」。 55歳のメキシコ人指揮官が選手たちに求めるのは、必要ならばファウルも辞さない激しい闘争心と、ピッチ上における自由奔放な発想力。攻守ともに選手任せの「無手勝流」と表裏一体であるし、0対4の惨敗を喫した10月のブラジル代表戦後には少なからず批判の声も上がった。いずれ是非が問われるはずだが、現時点ではチーム作りへのスタンスを変える気配はない。