日銀、追加緩和決定 黒田総裁会見(全文1)2%物価目標達成は2017年度中
展望レポートの決定、公表について
次に本日は展望レポートを決定、公表しましたので、これに沿って先行きの経済・物価見通しと、金融政策面の基本的な考え方について説明します。わが国の景気は新興国経済の減速の影響などから輸出生産面に鈍さが見られるものの、基調としては緩やかな回復を続けています。先行きについてはしばらくの間、輸出・生産面に鈍さが残り、景気回復ペースの鈍化した状態が続くとみられますが、その後は家計、企業の両部門において所得から支出への前向きの循環メカニズムが持続する下で、潜在成長率を上回る成長を続け、基調として緩やかに拡大していくと考えられます。 実質GDP成長率の見通しを従来の見通しと比べますと、財政面での景気刺激策の効果もあって、見通し期間の前半を中心に上振れています。物価面では生鮮食品を除く消費者物価の前年比は小幅のマイナスとなっています。先行きについては、消費者物価の前年比はエネルギー価格下落の影響から当面小幅のマイナスないし0%程度で推移すると見られますが、物価の基調は着実に高まり、物価安定の目標である、2%に向けて上昇率を高めていくと考えられます。 この間、原油価格が現状程度の水準から緩やかに上昇していくとの前提の下では、消費者物価の前年比が物価安定の目標である2%程度に達する時期は、中心的な見通しとしては2017年度中になるとみられますが、先行きの海外経済に関する不透明感などから不確実性は大きいと考えられます。その後は平均的に見て2%程度で推移すると見込まれます。 なお展望レポートについては佐藤委員、木内委員から消費者物価が見通し期間中には2%程度には達しないことを前提とする記述の案が提出され、否決されました。日本銀行は2%の物価安定の目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点までマイナス金利付き量的・質的金融緩和を継続します。今後とも経済物価のリスク要因を点検し、物価安定の目標の実現のために必要な場合には量・質・金利の3つの次元で追加的な金融緩和措置を講じます。 なお展望レポートで示したとおり海外経済、国際金融市場をめぐる不透明感などを背景に、物価見通しに関する不確実性が高まっています。こうした状況を踏まえて、次回の金融政策決定会合において、量的・質的金融緩和導入以降も経済・物価動向や、政策効果について総括的な検証を行うこととしました。2%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現するためには今後、何が必要かという観点から検証を行っていきたいと思います。以上です。