半世紀余り前の大阪万博のことを知ってほしい……太陽の塔にエキスポランド、古河パビリオンの七重の塔
建物、制服 レトロな楽しさ 【写真】「太陽の塔」の前の人だかり…6000万人以上が訪れた1970年の大阪万博
1970年に開催された大阪万博の様子を、楽しいイラストと解説で紹介した。その中で、「最も思い入れがある施設」が、東芝IHI館。中央にある赤いドームを、三角錐(すい)を組み立てた黒っぽい立体で包み込んでいる。まさにウニのようだ。
万博開催時は8歳で、地元大阪に住んでいたから、「数回行ったのは確か」という。今回の絵本の企画を依頼された時も、「実際に行っているし、なじみのある場所。今の自宅は、万博記念公園に近く、取材もしやすいだろう」と快諾した。
「当時を知らない子どもたちに、過去の万博について、正確な情報を伝えるのが目的」だったので、太陽の塔、エキスポランドなどを描くのは必須だった。監修を、万博コレクターとして知られる白井達郎さんが務めている。
一方、万博の楽しさを伝えるために、「パビリオンは、建物の形状、デザインが面白いものをピックアップした」と振り返る。「子供心に空飛ぶ円盤みたいで格好いいと思った」住友童話館、「構造が複雑で描くのが大変だった」古河パビリオンの七重の塔……。それぞれの建物の横には、案内係の女性が描かれ、レトロな感じの制服が楽しい。
幼い頃から、家族と一緒に民芸品や手仕事に親しみ、興味をもってきた。戦前の建物や昔の絵本もお気に入り。身についたレトロ感覚は『江戸のお店屋さん』『昭和のお店屋さん』といった絵本に生かされている。
『大阪万博1970』も「おじいちゃん、おばあちゃんと一緒に読んでほしい」と期待する。「来年開かれる大阪・関西万博について世間で騒いでいるけど、どんなものなのとか、当時の思い出話とか、家族で会話が弾むといい」(ほるぷ出版、1980円)近藤孝