大谷翔平の「好きな漫画」に納得…米記者が「オオタニは日本だからこそ誕生した」と語るワケ
前人未到の50-50(50本塁打、50盗塁)、ワールドチャンピオン、3度目のMVPを成し遂げた米大リーグ(MLB)・ドジャースの大谷翔平選手。 【写真】大谷翔平がメジャーに行く前に「熟読していた文庫本」、その「本の名前」 その大谷選手の取材にエンゼルスへの移籍前から熱心に取り組み、地元紙ならではの肉薄した視点で精緻に報道し続けてきたのが、アメリカ最大の日刊紙・Los Angeles Times(ロサンゼルス・タイムズ)。 他に例を見ない二刀流のスーパースター。エンゼルス在籍時、L.A. TIMESは日本の漫画文化を引き合いに出し、「彼のような選手は日本だからこそ誕生した」と論じた。 100点を超える写真と13万字以上の詳述で大谷の全足跡を記した「L.A. TIMES」公式独占本『OHTANI’ JOURNEY 大谷翔平 世界一への全軌跡』(L.A. Times編/児島修訳、サンマーク出版刊)。12月24日の日本発売を前に、「漫画」を超え、「野球史」を変え続ける大谷の偉業について、本書から一部をお届けする。
大谷は現実の世界の茂野吾郎に
(ディラン・ヘルナンデス 2021年5月23日) 彼は、大谷翔平登場以前の「大谷翔平」だった。彼は、アナハイムと契約した日本人左腕だ。 その速球は時速102マイル(約164.1キロ)。球場のスタンド上段の大型スクリーンに激突する特大ホームランを打ったこともある強打者だ。 彼の名は茂野吾郎。そう、架空の人物。日本の漫画、『MAJOR』の主人公だ。 大谷は、1994年から2010年まで週刊少年サンデーに連載されたこの人気漫画のファンだった。2010年は、大谷が花巻東高校に入学した年だ。 今、エンゼルスの二刀流選手になった26歳の大谷は、現実の世界の茂野吾郎になった。 この週末をメジャーの本塁打ランキングで首位タイの14本で迎えた大谷は、まさに漫 画の主人公のような活躍をしている。先週は、3試合連続でホームランを打った。ある日にはグリーンモンスター〔レッドソックスの本拠地フェンウェイ・パーク左翼にそびえる11m以上ある緑色のフェンスの愛称〕を越える逆方向への一発を放ち、別の日にはストライクゾーンから上にかなり外れたボールを強烈に打ち返した。 ピッチャーとしても、ここまで30と1/3回を投げ、45奪三振、防御率2.37を記録している。 近代史上初の二刀流選手が日本で生まれたことを意外に思う人もいるかもしれない。日本の投手や打者は、マウンドや打席で圧倒的な身体能力で勝負する型破りなタイプというより、堅実で基本に忠実なプレーで知られている。だがよく考えると、この国から大谷のような選手が登場した理由もよくわかる。