〈奥能登豪雨〉漁師、海女も懸命捜索 不明の輪島中・喜三さん
●27隻100人「できることを」 ●陸の災害で異例協力 奥能登豪雨で安否不明となっている輪島中3年の喜三翼音(きそ・はのん)さん(14)を見つけようと、輪島市内の漁師や海女約100人が29日、漁船に乗り込んで海上から手掛かりを捜した。捜索範囲が塚田川河口まで広がったことを受け、有志が「船を持つ自分たちにできることをしたい」と協力を志願し、27隻が参加した。地元の海士(あま)町船主会によると、陸上で発生した災害の捜索に漁船が出動するのは異例で、一日も早い発見を目指す。 漁師と海女は午前7時、輪島港に集まった。やや風が強かったことから、風の影響を受けにくく、小回りのきく中型船を中心に27隻を出すことを決定。各船に数人ずつが乗り込み、翼音さんが流されたとみられる塚田川河口付近に向かった。 漁師や海女は現場に到着すると、潮の流れを見ながら2時間超にわたって海上に目を凝らした。ただ、周辺は元日の地震で海底が隆起しており、参加した漁師の1人は「風の影響で座礁する恐れがあり、海岸にはあまり近づけなかった」と話した。 29日は発見に至らなかったため、30日も有志がボランティアで船を出す。海女漁保存振興会長を務める門木奈津希さん(43)は翼音さんと同世代の娘がいるとし、「想像するだけで胸が苦しくなる。早く風がないで(弱まって)ほしい」と話した。 海士町船主会の細道龍一会長(48)によると、この日の捜索には仮設住宅が床上浸水の被害を受けた漁師も参加した。細道さんは「災害が多く発生しており、人ごとではない。漁師として一日も早く見つかるよう、海上から手伝いたい」と力を込めた。