『海のはじまり』で話題をさらった古川琴音 憧れの英国人演出家の舞台に出演「すべてにおいて想像を超える物語」【独占インタビュー】
古川琴音さんが、学生時代から憧れていた演出家、トム・モリスさんの舞台に出演する喜びを語りました。 【写真】『Touching the Void タッチング・ザ・ヴォイド ~虚空に触れて~』のビジュアルを見る 2024年はドラマ『海のはじまり』(フジテレビ)に出演したほか、主演作2本を含む7本の映画が公開されるなど、出演作が絶えない古川さん。10月8日開幕の舞台『Touching the Void タッチング・ザ・ヴォイド ~虚空に触れて~』に出演します。 本作は、主人公で登山家のジョー・シンプソンさんによる小説『Touching the Void』(邦題『死のクレバス』/1988年)が原作。サイモン・イェーツさんとともにペルーのシウラ・グランデ山に登頂した際に実際に起こった、遭難事故の回想録です。 2003年にイギリスで映画化され(邦題『運命を分けたザイル』)、英国アカデミー賞で最優秀英国作品賞を受賞。2018年には同国で舞台化もされた名作が、正門良規(Aぇ! group)さん主演で日本初上演されます。 ジョー(正門)とサイモン(田中亨)は登頂に成功するも、下山中にジョーが骨折して氷の崖で宙吊りになってしまい、サイモンは苦渋の決断で1人下山。ジョーが死んだと聞かされた姉のセーラ(古川)は、サイモンや仲間のリチャード(浅利陽介)らと集い――。 めざましmediaは、セーラ役の古川さんに独占インタビュー。本作への意気込みや正門さんら共演者の印象、直近の出演作への思い、最近ピンチに陥ったことなどを聞きました。
<span style="font-size: 12.0pt; font-family: 'MS Pゴシック',sans-serif; mso-bidi-font-family: 'MS Pゴシック'; color: black; mso-themecolor: text1; letter-spacing: .6pt; background: white; mso-font-kerning: 0pt;">「自分の人生にこんな幸せが」オーディションで勝ち取った役</span>
――本作の演出家、トム・モリスさんに憧れていたそうですが、出演が決まった際はどんな気持ちでしたか? トムさんの舞台に出演するのは、私にとって夢のまた夢でした。大学生の頃に、ナショナル・シアター・ライブ(映画館での舞台上映)でトムさん演出の『ウォー・ホース ~戦火の馬~』を観て、「舞台ってこんなに変幻自在で自由なんだ」と衝撃を受けたんです。 それ以来「いつか自分もトムさんの舞台に立ってみたい」と憧れていて、まさか現実になるとは思いもしませんでした。 キャスティングはオーディションだったのですが、オーディションを受けられるだけでも光栄で。出演が決まったときは、自分の人生にこんな幸せが訪れるのかという喜びと、新しい扉が開いて次のステージに踏み出すような希望を感じました。 ――稽古でトムさんの演出を受けて、いかがですか? 毎日いろいろな発見があって楽しいです。トムさんがイギリス公演の演出をされたときに、実際のジョーさんやサイモンさんに会って取材をされたということもあり、私たちも実話の背景を知りながら演じられるのが、とても面白いです。トムさんが取材で感じたことを直接聞くことができたので、物語への理解度が圧倒的に深まっている感覚があります。 また、トムさんは「稽古は実験の場だから、失敗して良い。たくさんの失敗のなかから出来上がっていく」ということを常におっしゃっています。そのおかげで、いろいろな角度から物語や役を捉えたりと、さまざまな挑戦をさせていただいています。 ――ジョーは険しい雪山で、まさに生と死の淵に立ちます。壮絶な実話がもとになった本作に、どんな印象を持ちましたか? すべてにおいて想像を超える物語だと思いました。自然の厳しさや壮大さ、それに対する人間の本能…マクロな視点とミクロな視点を一緒に掘り下げていくような、大きな物語だなと感じました。 危険を承知で山に登るというのは、きっと抗えない本能からくる情熱なのかもしれません。私は登山経験があまりないですし、死と隣り合わせになった経験もないですが、程度は違ってもその本能に共感できる部分がある気がしました。 ――セーラは唯一、原作にはないキャラクターです。どのように演じたいですか? 登場人物のなかで唯一、登山のことを何も知らないどころか、登山に反感を持っています。なぜ危険を冒してまで山に登るのかという疑問や、登山に対する理解など、観客の皆さんもセーラを通してわかっていく部分があると思うので、しっかりリードしていきたいです。 また、セーラはトリッキーなキャラクターなので、その個性も表現したいなと思います。特にジョーと2人のシーンは、姉弟間ならではの皮肉や意地悪な部分も現れますが、それは根底に弟への愛情があるから。そういう、一言では語り尽くせない複雑さも表現できたらと思います。