博多駅前にのびる「光の道」 ビル街の谷間に沈む夕日/福岡市
すぐそばにある絶景
日没がいよいよ迫る頃、3階テラスと屋上庭園「つばめの杜ひろば」に足を運んだ。それぞれのデッキでは、女子高校生やカップル、一人で訪れた男性らが一定の距離を保ちながら夕涼みを楽しんでいた。 18時30分頃、ビル街の先に見える山の稜線に太陽が沈んでいった。そこにいた全員が、その瞬間を待ち構えていたように、そしてまた名残を惜しむように、赤く染まる一点をじっと見つめた。
「あっ、飛行機雲」。不意に子どもの声がした。あかね色に染まった大空のキャンバスに、交差する四つの飛行機雲が描かれている。声に気づいた女性たちが、顔を上げてスマホを空に向けた。
こんなに美しく変化に富んだ光景がすぐそばにあるのに、日常の雑事に追われて目を向けていなかったことを少し悔やんだ。デッキに腰を下ろし、深い夜へと向かっていく空の様子と輝きを増す街並みを静かに眺めた。
読売新聞