ホラーより怖い!未体験のワン・シチュエーション映画3本を有村昆がレコメンド「100点満点の台本」
夏の終わりにこそ観たい、納涼映画。今回は、ホラーより怖い、ワン・シチュエーション映画を映画評論家の有村昆が紹介します。 【関連写真】有村昆が勧めるワン・シチュエーション映画3本 まだ残暑が続きますね。今年の夏は、観測史上最高だったとか。これだけ暑いとあまり出歩かずに、家でずっと映画を観ていたという方も多いんじゃないでしょうか。 昭和のころは、暑い時期には怪談映画を観てゾクっと涼を得るという謎の習慣がありました。あれ、なんだったんですかね? 夏休みにはテレビで怖い映画特集とかよくやってましたよね。 でも、いまどき映画でゾクゾクして涼しくなりたいなら、ホラーよりもワン・シチュエーション映画をがおすすめしたいですね。 ソリッド・シチュエーション・スリラーなどとも呼ばれますが、舞台設定が限定された空間で、追い詰められた登場人物たちが試行錯誤するような作品を指すジャンルになります。 ホラーだと1作目の『SAW/ソウ』、SFなら『CUBE』といった、限定空間で展開する名作がソリッド・シチュエーションと呼ばれるようになり、スキューバダイビングをしていたカップルが大海原に取り残されてしまう『オープンウォーター』が話題となったことでジャンルが活性化しはじめて、いまや毎年のように場所や設定に工夫を凝らした新作が作られています。 小島に取り残されてサメと戦う『ロスト・バケーション』、棺桶に入ったまま埋められて脱出を試みる『リミット』、日本でも中島裕翔くん主演の『#マンホール』という作品もありました。 ジャンルを広く捉えると、コリン・ファレルの『フォーン・ブース』なども入るかもしれないですね。『グランドピアノ 狙われた黒鍵』という、イライジャ・ウッド主演の映画があるんですけど、これはピアニストがステージで難しい曲を弾こうとしたら、楽譜に「1音でも間違えたら、お前を殺す」と書かれていて、どんどん追い詰められていくというお話で、これもワン・シチュエーションものと言っていいと思います。 本当に様々な作品があるんですけど、僕がまずオススメしたいのが『海底47メートル』という作品です。 シャークゲージと呼ばれる檻に入って海に潜り、近くに寄ってくるサメや魚を間近で観てスリルを楽しむというアクティヴィティがあるんです。これに2人組の女の子が挑戦するんですけど、そもそも1人は乗り気じゃなかったのに、もう1人の子が積極的に誘って、なんとか連れ出したという伏線があるんですね。 そしてサメがウヨウヨ泳いでいる沖までいって、エサをばら撒いて、ふたりの入ったケージを水深5メートルくらいのところにドボーンって吊り下げるんです。 ふたりは酸素ボンベをつけていてしばらくは潜れるので、目の前まで来たサメと写真を撮ったりして、それなりに楽しんでいたんですけど、ケージを吊っているチェーンを巻き取るウインチが壊れてしまい、ふたりは檻に閉じ込められまま水深47メートルの海底に沈んでしまう。 すぐにケージの扉を開けて脱出しようと思うんですけど、入口に重りみたいなものが乗っかっちゃって扉が開かない。なんとかこじあけても、海中にはサメがウヨウヨしてるので檻の中から離れられない。通信機器も電波が届かない。酸素ボンベの残りもどんどん減っていく。ふたりは様々な方法で脱出を試みるんですけど、上手くいきそうだと思ったら失敗するの繰り返し。水面に出るときには、水圧に体を慣れさせるために出来るだけゆっくり上がっていかなきゃいけないんですけど、そんな悠長にしてたらサメに襲われてしまう…というようなハラハラする展開が続きます。 映画を見てる間、ホントに息苦しくなるほどの没入感。涼しいを通り越して、背筋がゾクゾク、ヒヤヒヤする映画です。