111年の歴史に憧れのセーラー服 大阪・夕陽丘高に潜入後編
夕陽丘のリカちゃんも制服姿に
制服の話を聞いた後、同会館でやけになじみの深い人形が玄関先で販売されていた。なんと、あの「リカちゃん人形」で、服装は同校の制服を着ており「夕陽丘のリカちゃん」として販売されていた。
森さんによると、100周年を記念して同窓会で作られたもので、当時は同校への寄付金も含め1体2千円で販売されていたとか。現在は1体500円で売られており、残りわずかだとか。ほかにも、キティちゃんとコラボしたものなど、そうした面でも同窓会の活発な活動がうかがえる。 「この制服には、多くの人の思いもあるかもしれません」と恩知校長。先日、生徒からこんな話を聞いたという。ある生徒が地下鉄で通学中、見知らぬ女性から「今もその制服なのね。私も40年前に着ていたのよ」と声をかけられたという。その生徒は「この制服を見てそうやって声をかけてくれたので、すごく心が温まりました」と話していたとか。 時を超えても、年齢を重ねても、この制服への憧れや親しみは、いつまでも変わらない思いを持っている人も多いのかもしれない。そう思うと、森さんの「しっかりと着てほしい」という思いも納得できる。
貴重な資料の数々、昔の新聞も
さて、話は資料室に戻るが、中にはかつての木造校舎時代の階段や、森さんの教え子が制作した旧校舎があったころの学校敷地を表現した模型、学校の新聞部が発行していた「夕陽丘」と題した新聞は、製本された状態で昭和初期のものなどもきれいに残されている。
その製本されたものから1950年代当時の新聞記事を手にとってみると、全国紙などと同じ大きさはブランケット版で「天下の夕陽に雨が漏る」の見出しを見つけた。 内容は校舎で雨漏りがあり、即座に対策を講じて事なきを得たことをまとめたものだが、見出しのたてかたなど、当時の学校の様子がわかりやすく綴られている。これは、同校に通っていなくても、ついつい興味がわいてしまいそうだ。森さんは「もうボロボロですけど」というが、こうした資料ひとつでも大切に保存するのは大変なことだ。そして、森さん、畑中さんともに、これだけ膨大なすべての資料を把握しているのには驚きだ。 今年で建設されてから83年となる同会館だが、数年前に耐震が施され、ほぼ当時のままで残されている。創立111年となる同校だが、この会館にもさらに刻まれる歴史の数々が、これからもどんどん残され、後世に伝えていくことだろう。森さんや畑中さんは、きょうもこの会館を守り続ける。