なぜ、薬の副作用が高齢になるほど重症化するのか。知れば知るほど多剤併用が怖くなる理由を明かそう
問題は高齢者の体をよく知る医者が少ない
高齢者では、薬の影響が長く残りやすいという特徴がある一方で、薬による効き目がはっきり出ないことがよくあります。高齢者の薬の効き方は、若い人より個人差が大きいのです。5種類の血圧の薬が処方されていた例は、おそらく、初めの薬でなかなか血圧が下がらず、次々と薬を加えていった結果なのでしょう。「基準値にすることが絶対」と考える医者で、ときどきこうした例が見られます。 問題は、高齢者のことをよく知る医者が身近に少ないということです。また、高齢者に適した薬の処方もあまり研究されていません。 日本では、15歳以下の「子ども」には、薬の量や種類を規定して、安全に薬を服用できるような配慮がされているのに、高齢者にはそうした配慮がまったくないのです。その結果、高齢者は薬の種類も量も多くなり、副作用でヨボヨボにされていく危険性が高まります。 続きは<予想外のアクシデントを起こす「薬剤性せん妄」。実はハイリスク薬を私たちは当たり前に使っていた>にて公開中。
和田 秀樹(精神科医)