なぜ、機関投資家の暗号資産投資が増えているのか
過去10年で、暗号資産(仮想通貨)の投資資産としての可能性は大きく広がった。最先端のイノベーションと主要トークンの目を見張るようなパフォーマンスが相まって、この分野への機関投資家レベルの投資は必然のように思われた。 しかし、暗号資産の実験が始まって約15年が経過したが、機関投資家の暗号資産への参加は依然として限定的。むしろ、多くの機関投資家は「様子見」モードで、この新しい投資分野に踏み出す前に徹底的なデューデリジェンスを必要としている。 投資が遅れている多くの理由の中には、規制の不透明さ、未成熟な市場インフラ、不十分な投資商品、資産の実績の乏しさなどがある。幸いなことに、規制環境の変化からインフラの成熟化、 需要の高まりまで、こうした懸念に対処する前向きな動きが広がってきている。そのため、機関投資家の暗号資産への長期的な投資アロケーションは転換点に近づいているかもしれない。
規制面での進展
情勢が変化しつつある大きな理由は、規制面で少しずつ成果が上がっているからだ。例えばビットコインは、証券ではなくコモディティとみなされるのに十分なほど分散化していると判断されるようになった。この区別は、最も著名な暗号資産であるビットコインに対する規制フレームワークの明確化に貢献し、同様に分散化された暗号資産の先例となる。 さらに、最近の裁判での勝利は強力な先例となり、暗号資産業界のルールを確立しつつある。中でも最も注目すべきは、今夏にアナリサ・トーレス(Analisa Torres)連邦地裁判事が下した「米政府 vs リップル・ラボ」の判決だろう。トーレス判事は、エックス・アール・ピー(XRP)の暗号資産取引所での個人投資家へのプログラムを使った販売は、未登録の有価証券募集に当たらないとし、トークン販売の取り扱いについて考えるフレームワークを提供した。 課題や不確実性は依然として残るものの、こうした最近の動きはアメリカにおける規制環境が前向きな傾向にあることを示している。