横浜DeNA筒香の成績が落ちても年俸アップの理由がわかる映画
これは、いわゆるモチベーションビデオと呼ばれているもので、サッカーの日本代表チームなどが、ずいぶん昔から導入していて、試合前に選手に見せ気持ちや集中力を高める役割があるとされる。おそらく、この作品の制作スタッフが作ったのだろう。本編では、そのモチベーションビデオも、そのまま紹介されている。 CSのファイナルシリーズの初戦で広島に敗れ、追い込まれた試合後にもロッカーの沈みこむ空気を察知した筒香は全員に集合をかけた。筒香は、バットと背中で寡黙にチームを引っ張るタイプのリーダーだと思っていたが、そうではなかった。 26歳とは思えぬチームマネジメント能力を持っている人物であることがよくわかった。筒香を信頼して、キャプテンに任命、彼にチーム内のことを任せたラミレス監督の管理術も良かったのだろう。 フロントが数字に出ない、これらのキャプテンとしての筒香のチーム貢献度を“キャプテン料”として評価したのならば、素晴らしい査定である。 本作品の監督兼密着カメラマンを務めた金澤佑太氏は、「選手の悩みや葛藤などは、ほかのドキュメンタリーでは出ない生々しさが映っていると自負している。苦悩する選手に対して監督やコーチ、仲間である選手がかける一言は、重たくも優しいものがあった。CSのファイナルステージで広島との接戦を制した後、ベンチでのハイタッチを全員分、そのまま編集せずに映し出しているところは各選手のそれぞれの感情がよくでているのでぜひ一人ひとりに注目して観てほしい」と、作品をPR。 本作を通じて何を伝えたいか?と聞かれ「人が成長するということ。選手が成長する時間は、いつも誰かが寄り添っている」と答えた。 まさに筒香を軸にチームがひとつにまとまっていく集団の成長プロセスが、そこには描かれていた。 この物語のラストは、もちろんソフトバンクとの日本シリーズの敗北シーンである。(実際のラストシーンは、興味深いラミレス監督のシーンだったが)。 決してハッピーエンドではない。 だが、横浜DeNAが、その内側に描いていた素晴らしい人間ドラマは、リーグ優勝、そして日本一を誓う2018年シーズンへと続く。その中心にいるのは、やはり筒香。次回作の主役も、きっと、この人である。