若者の元気に励まされ 輪島・町野のスーパー 航空高石川野球部員、泥かき
●「試合応援の恩返しに」 「もとや」社長、再起誓う 航空高石川(輪島市)の野球部員が26日、奥能登豪雨で濁流にのまれた同市町野町のスーパーマーケット「スーパーもとや」で、泥かきボランティアに取り組んだ。「試合で応援してもらった恩返しをしたい」と学校側が志願。社長の本谷一知さん(46)は被災直後、「心が折れそう」と営業再開を諦めかけていたが、バットをスコップに持ち替えて汗を流す部員たちに励まされ、「再び人が集まる場所に」と再起を誓った。 豪雨の後、報道でスーパーの惨状を知った中村隆監督(40)が、少しでも力になりたいとボランティアを提案。本谷さんの次男で、同校野球部OBの悠樹さん(18)を通じて手伝いを打診した。 チームは28日に北信越高校野球石川県大会の準決勝を控えた大事な時期。本谷さんは申し出を受けるか迷ったが、泥を放置すると固まって除去が難しくなり、虫が湧くため、助けてもらうことにした。 大雨が降った21日、店は約2メートルの高さまで泥水につかった。同日以降は店関係者が清掃を続けているものの、店内は約250坪と広く、作業が追いついていなかったという。 26日は1、2年生の部員20人が参加した。スコップやちりとりを使って店内の泥水をかき出し、陳列棚やレジなど重い物は協力して外へ運んだ。近隣住民の要請を受け、民家の片付けも手伝った。 神奈川県川崎市出身の佐藤星磨さん(1年)は「災害現場を見たのは初めてでショック。普段鍛えているので、力が少しでも役に立ってうれしい」と話した。 本谷社長は「若い力に励まされた。活力が湧いてくる」と事業再建へ意欲を高め、「片付けにはまだ時間がかかるが、味方がいて心強い。店を人が再び集うワクワクする場所にしたい」と話した。