妊娠中の柴犬が行方不明に…飼い主「まさか警察署の中で」 福井県
福井県警越前署に迷い犬として保護されていた柴犬がこのほど、署内で2匹の子犬を産んだ。無事3匹を引き取った飼い主は「まさか警察署の中で生まれるとは」と、署員らとともに驚いている。 柴犬は、南越前町の男性(69)が飼育している3歳の梅ちゃん。男性は、じきに出産を迎えることが分かり10月21日夕、自宅前にリードで梅ちゃんをつなぎ、小屋で出産の準備を進めていた。 ところが、梅ちゃんはリードをかみちぎり脱走。男性は自宅近くを探し回った。「屋外で生むと寒くて子犬が死んでしまう」と心配し深夜まで捜索した。 梅ちゃんはその夜、近くを通りかかった人の車で越前署に運ばれていた。 当直だった署員は「夜間はずっと鳴き声が聞こえていたが、早朝にはすっかり鳴きやんでいた」と梅ちゃんの様子を振り返る。 朝、ケージを見に行くと、中にいたのは梅ちゃんと母乳を飲む2匹の子犬だった。「出産直後の様子を見られて感動した」と署員は笑顔を見せる。 男性と同署はそれぞれ県動物愛護センター(福井市)に迷い犬の連絡を取ったことで、梅ちゃん親子は22日、男性の元へ戻った。2匹はともに雄だった。 男性は「無事見つかって良かった」とほっとした様子。5年前から本格的にブリーダーとして活動しており、「ゆくゆくは立派な犬に育ってほしい」と将来を思い描く。子犬は梅ちゃんの母乳を吸い、すくすく成長している。
福井新聞社