「イカゲーム2」が映す「今」 参加者はトランスジェンダーやインフルエンサー ゲームのスタッフも困窮者
■運営スタッフも困窮者 シーズン1でも北朝鮮から逃れてきた脱北者や、外国人労働者ら、それぞれの事情で大金を求める人たちが参戦したが、2も現代社会を反映した様々な参加者の背景が描かれる。例えばパク・ソンフンが演じるヒョンジュはトランスジェンダーで、性別適合手術の費用を稼ぐために参加する。娘の治療費のため、息子の借金返済のため、ゲームに身を投じる参加者たち。さらに脱落者を射殺する狙撃手の事情まで描かれ、ゲーム運営スタッフにも経済的困窮者がいるという構造が見えてくる。 シーズン2の特徴は、もともとの人間関係がゲームに持ち込まれた点だ。1でゲーム外で登場したギフンの友人ジョンベ(イ・ソファン)がゲームに参加し、2人は相棒として共闘する。新たな出演者として注目を集めるイム・シワンとチョ・ユリ(IZ*ONE出身)は元恋人を演じる。ミョンギ(イム・シワン)は仮想通貨の情報を提供するインフルエンサーだったが、投資に失敗して借金を抱えた。参加者の中にはミョンギの助言を聞いて投資し、損害を被った元フォロワーたちもいる。元フォロワーの一人はBIGBANG出身のT.O.P(チェ・スンヒョン)が演じる。ミョンギは自分の生き残りだけでなく、元恋人を守りたい立場、元フォロワーに恨まれる立場まで重なって複雑な関係の中でゲームに参戦する。 それぞれの事情を抱えた参加者たちが繰り広げる熱戦と、ゲームを食い止めたいギフンとジュノが挑む強敵フロントマン。シーズン3もすでに2025年の配信が予告されており、様々な目的と欲望が複雑に絡み合った闘いは3へと続く。(ライター・成川彩) ※AERA 2024年12月30日-2025年1月6日合併号
成川彩