「年収1000万円以上」のエンジニア、6割がAIを活用 年収400万円以下は?
就活サポートサービスを運営するHajimari(東京都渋谷区)は、ITエンジニア300人を対象にした「エンジニアの生成AI活用調査」を実施した。29.3%が生成AIを開発業務に活用している一方で、「活用を考えていない」と回答した人は41.0%という結果に。年収1000万円以上の約60%が活用している一方、年収400万円以下では活用率が20%を切り、高年収層ほど活用率が高い実態が浮き彫りになった。 【ランキングを見る】生成AI導入後に発生した課題
活用場面の3位「コーディング」、2位「データ分析・可視化」 1位は?
世代ごとの「活用率」には大きな違いが見られなかった一方で、「活用意欲」については大きな差が見られた。 40~50代の中堅・ベテラン層では、36.3%が「活用したいが、活用できていない」と回答。20~30代の若手層では同回答が17.8%にとどまった。中堅・ベテラン層のエンジニアは、生成AIの活用に強い関心を持っているようだ。20~30代の52.1%が「活用する気は今のところない」と回答。「若手ほど新技術に積極的」という認識を覆す結果となった。 「生成AIを活用している」と答えた回答者に、どのような場面で使用しているかを聞くと、最多は「調べ物・問題解決」(18.8%)。「データ分析・可視化」(14.3%)、「コーディング」(12.7%)と続いた。 活用率については、約7割が成果物の2割以上に生成AIを利用していると回答。生成AIが業務に浸透していることを示す結果となった。 生成AI活用者に効果を実感しているかを聞くと「期待以上の効果を感じている」(34.0%)、「期待通りの効果を感じている」(54.5%)と約9割が業務への効果を実感している。 1日あたりの業務時間の変化については、30分~1時間(30.6%)と答えた人が最も多く、2~4時間(26.1%)、1~2時間程度(21.5%)と続いた。
導入後に新たに発生した業務や課題は?
生成AI導入後に新たに発生した業務や課題で最も多かったのは「生成AIが生成する成果物の品質を維持することが難しい」(21.5%)だった。次いで「生成AIを活用するために、新たに学習が必要で負担が大きい」(20.1%)、「生成AIの導入および運用に予想以上のコストがかかった」(15.1%)となった。 生成AIを活用していない理由を聞くと「生成AIを活用しなくても業務が遂行できるから」(20.2%)が最多に。「生成AIの技術がまだ発展途上であり、十分に信頼できないと感じるため」(15.3%)、「活用するのが難しいため」(14.8%)が続いた。 一方で、約55.6%が生成AIに対して学習意欲を示していて、今後さらに普及する可能性も見込まれる。 何があれば生成AIを活用するかを尋ねると「業務上の必要性」(24.7%)と答えた人が最も多かった。「具体的なAI活用事例や成功事例」(18.5%)を求める声も多く、様子を見ているエンジニアも少なくない。 生成AIの普及によって、エンジニアの仕事が代替されると感じるかを聞くと、87.9%が仕事の代替を意識していると答えた。だが25.4%は、具体的な対策を取っていない。 現状では「認識と行動のギャップ」が生じており、多くのエンジニアが変化の必要性を感じていながら、具体的な行動には移せていないことが明らかとなった。 調査は9月、インターネットで実施した。年齢の内訳は20~29歳が9.7%、30~39歳が14.7%、40~49歳が26.7%、50~59歳が30.3%、60歳以上が18.6%。年収の内訳は、200万円未満が5.3%、200万円以上400万円未満が15.7%、400万円以上600万円未満が32.3%、600万円以上800万円未満が25.0%、800万円以上1000万円未満が11.0%、1000万円以上1200万円未満が6.0%、1200万円以上1400万円未満が3.0%、1400万円以上が1.7%だった。 (小松恋、アイティメディア今野大一)
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