4代目セレナはドライバーが満足できるクルマになっていた【10年ひと昔の新車】
目指したのはドライバーも満足できるミニバン!?
スタートボタンを押しエンジンを始動する。街中走行時の乗り味はマイルドで、突き上げ感が先代と比べて改善されたように思った。 アイドリングストップはごく自然。マーチではスターター式を採用するため、エンジン再始動時にセルモーター音がしたりタイムラグがあったりと、明らかな“もたつき感”があるのだが、セレナのシステムはベルトを介してダイレクトにクランクを回し再始動を行うECOモーター式を採用するため、始動時にはセルモーター音がなく静か。さらに始動にかかる時間は0.3秒とスピーディで、人間の運転感覚に合った自然な制御に仕上がっているのが好印象だ。 そうしたエコ機能の効果を知らせるために、デジタル速度計の右隣に楕円のECOメーターを配している。これは瞬間燃費計やエコドライブナビゲーター、アイドリングストップタイマーなどをマルチに表示して、エコドライブの意識を高めるための計器なのだが、その表示は直感的に少々わかりにくく感じた。 高速道路走行では、法定速度内では安定性が高く、ノイズの少なさも含めるとその速度域ではひとクラス上の走り味を実現している。背高ボディにもかかわらず、ありがちなヒョコヒョコとした細かい上下動や、高重心からくるグラッとした不安定感は上手く抑えられている。 荷物や乗員人数に合わせて14パターンに変えられる室内アレンジや、からくり箱のようにそこかしこに備わる充実の収納スペースなど、室内空間の広さを最大限に生かしたセレナらしさはもちろん新型にも引き継がれている。大開口のスライドドアやロールサンシェードなど、子どもにもやさしい機能も確かに豊富だ。 でも今回は、エコドライブの優越感、静粛性や走りの質感の向上からくる運転の楽しさ、さらにインパネまわりや手に触れる部分の質感向上など、ドライバーであるオトーサン寄りのフルモデルチェンジに思えて仕方がない。 家族向けのミニバンだからこそ、ドライバーが満足できるクルマを……新型セレナ開発陣にそういう狙いがあるのなら、これは諸手を挙げて支持したい。(文:Motor Magazine編集部/写真:玉井 充)
日産セレナ ハイウェイスター2WD 主要諸元
●全長×全幅×全高:4770×1735×1865mm ●ホイールベース:2860mm ●車両重量:1630kg ●エンジン:直4DOHC ●排気量:1997cc ●最高出力:108kW(147ps)/5600rpm ●最大トルク:210Nm(21.4kgm)/4400rpm ●トランスミッション:CVT ●駆動方式:FF ●車両価格:249万9000円(2011年当時)
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