センバツへの軌跡/3 俊足武器に攻め勝つ /京都
<第91回選抜高校野球> 秋季府大会を通して、福知山成美のそつの無い攻撃が光った。決勝の京都国際戦は互いに逆転を繰り返す展開。この試合でも足を絡めた攻めで勝ちに結びつけた。 1点を追う六回表。5番の井戸悠太選手(1年)が安打で塁に出ると、続く岡田健吾選手(2年)とのランエンドヒットが見事に決まり、一挙三塁へ。逆転への口火を切った。府大会でヒットエンドランやランエンドヒットを確率高く決めて勝ち上がってきた打線。この場面も井本自宣監督(45)の出すサインに迷いはなかった。 新チームの公式試合で記録した盗塁は5。決して多くはないが、足の遅い選手は見当たらない。チームの稼ぎ頭は2盗塁した4番の原陽太選手(2年)。「4番ですからね、結構相手のマークが甘い。意外と足は速いんですよ」と、井本監督が笑いながら“秘密兵器”を明かした。 福知山成美には校内の傾斜地を利用した名物の坂道ダッシュの練習がある。冬場は特にこの練習を繰り返し、選手たちの足腰を頑丈に仕上げる。駆け上がるスピードも各自が限界値を設定して、日々記録更新に挑む。この鍛錬が一冬を越して、選手たちを一回りも二回りも強く、俊足にする。【佐藤孝治】=つづく 〔丹波・丹後版〕