色彩の魔術師、フォロン。30年ぶりの大規模回顧展がスタート！
7月13日～9月23日、〈東京ステーションギャラリー〉にて、オリベッティのグラフィックも手がけたベルギー人アーティストの回顧展『空想旅行案内人 ジャン＝ミッシェル・フォロン』が開催される。 【フォトギャラリーを見る】 20世紀後半のベルギーを代表するアーティストのひとり、ジャン=ミッシェル・フォロン（1934～2005）。『空想旅行案内人 ジャン＝ミッシェル・フォロン』展は、フォロンの日本では30年ぶりの大回顧展だ。フォロンが制作し実際に使っていた名刺に書かれた “FOLON: AGENCE DE VOYAGE IMAGINAIRE（フォロン：空想旅行エージェンシー）” が同展のタイトルの着想点。ドローイングから水彩画、版画、ポスター、晩年の立体作品までを含めた約230点の作品を紹介する。
若き日にマグリットの壁画に感銘を受けたフォロンは、1955年にパリ近郊に移住。ひたすらドローイングを描くがフランスではなかなか芽が出なかった。しかし、作品を投稿したアメリカの『エスクァイア』『ザ・ニューヨーカー』『タイム』などの有力誌で注目されるようになる。1960年代初頭にはそれらの雑誌の表紙を飾るようになり、アポリネール、カフカ、カミュの本の挿絵なども手がけた。
さらに、マリオ・ベリーニやエットレ・ソットサス、ミケーレ・デ・ルッキらもデザインを提供したイタリアのタイプライター製造会社、オリベッティのグラフィック・デザインを任されるように。1968年のミラノ・トリエンナーレではフランス館の壁画を担当するなどさらに活躍の幅を広げていく。世界中で高い評価を得たその活動は、版画や水彩画、ポスター、文学作品の挿絵や舞台美術など多岐にわたった。
フォロンの作品の魅力は、その美しく豊かな色彩にある。1点の作品に使われる色数は多くはないが、限られた色彩を巧みに組み合わせ、グラデーションや滲みなどを駆使することで、奇跡のような美しい世界を創造するのだ。
