ウォール街、1世紀ぶりにT+1株取引に復帰-完了までの時間が半減
困難な移行期
ウォール街がこのような移行を行うのは初めてのことではないが、業界のプロによれば最も困難な移行期になるという。
1920年代のT+1時代は、取引量の急増に追いつくことが不可能になったため、終焉(しゅうえん)を迎えた。決済時間は最終的に5日まで延びた。
87年のブラックマンデーの暴落を受けて3日に短縮され、2017年には現代の市場をより反映するために2日に短縮された。
今日の市場の規模、国境を越えた投資の複雑さ、米国が他の国・地域に先行するという事実のため、今回の1日への短縮には困難が伴う。
最も注目すべきなのは、為替取引は伝統的に2日で決済されるため、米国の証券取引に資金を投じようとする海外投資家はより迅速にドルを調達する必要があるということだ。名目上は1日という時間枠があるが、実際には業界の重要な締め切りがあるため、多くの投資家はほんの数時間しか猶予がない。この時間が、流動性が低いことで有名な時間帯と重なる。
シティグループの証券サービス部門の執行サービス責任者、マイケル・ウィン氏によれば、「外為取引日の終わりとその直後、ニューヨークでは午後3時から7時の間に流動性要件の調整が行われる可能性が高い」という。
T+1システムには当面二つの大きな試練が待ち受けている。 29日のいわゆるダブル決済日が最初の試練となる。米国で27日がメモリアルデーの祝日だったため、24日のT+2取引と28日のT+1取引が同時に決済される。さらにMSCIは、MSCI・ACWI指数の組入銘柄の入れ替えを31日の取引終了時点で実施する。同指数に連動する世界中のファンドが保有銘柄を一斉に入れ替えることになる。
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BNYメロンのT+1プログラム担当ディレクター、クリストス・エコノミディス氏は「予想される波に対する準備はできている。このような移行にはいくつかの問題があることは承知している」と述べた。