【DeNA】5年ぶりに戻った男が決めた!筒香嘉智「みんなと喜びたかった」先制ソロなど4打点
<日本シリーズ:DeNA11-2ソフトバンク>◇第6戦◇3日◇横浜 5年ぶりに横浜に戻った男が決めた。3勝2敗で迎えた日本シリーズ第6戦。筒香嘉智外野手(32)が2回に先制ソロを放つと、5回2死満塁では走者一掃の3点適時二塁打。2安打4打点で、13安打で11点を奪った打線をけん引した。貯金42のパ王者ソフトバンクを圧倒し、貯金2、リーグ3位からの下克上物語を完結させた。最高殊勲選手(MVP)には3安打3打点で、日本シリーズ新記録となる5試合連続打点をマークした桑原将志外野手(31)が輝いた。 【写真】MVPの桑原を、やさしく抱きしめる筒香 ◇ ◇ ◇ 筒香が遅れて歓喜の輪に加わった。日本一の瞬間を左翼で見届け、中堅・桑原を思わず抱きかかえる。歓喜の笑顔は満開に咲き誇った。「最高でした。このチームが日本一になれたことに喜びを感じてます」とかすれた声で言った。 日本一に王手をかけた第6戦、貫禄の活躍ぶりだった。2回先頭、ソフトバンク有原のチェンジアップをバックスクリーン右へ。完璧な先制ソロだった。5回2死満塁でも左中間へ3点適時二塁打。4打点で優秀選手に輝き、横浜優勝をたぐり寄せた。 5年ぶりの復帰と同時に日本一。必然だった。リーグ戦は満足のいく数字ではない。左肋骨(ろっこつ)の疲労骨折などもあり、シーズン終盤は代打待機が続いた。当然、出場への思いは募った。でも、戦う場所はグラウンド上だけじゃない。見えないところでも戦ってきた。ベンチで1日で声がかれるほど応援したり、落ち込む後輩を励ましたり、守備固めにつく後輩の肩を温めるキャッチボールに付き合ったり。 そこにはかつての侍ジャパンの4番のプライドも、アメリカで経験してきた自負も関係なかった。「今はみんなが喜んでくれればいいと本気で思ってます。僕はみんなと優勝してみんなで喜びたかった」と信じた行動を貫いた。 かつての主将で4番とはいえ、チームから5年離れて、シーズン途中に加入した身。そんな立場は理解する。自分ではなく周りを立てる。CS優勝の記念写真。中央ではなく後列端っこで控えめに写った。巡ってきた日本シリーズの大舞台。まばゆい存在感で試合を決めた。それでも「リーグ優勝がかなってない。来年は必ずそこに向けて、みんなが入っていかないといけない」と余韻には浸らなかった。 時にド派手に、時に控えめに。全ては横浜で優勝するために。そんな背番号25に野球の神様が大一番でほほ笑んだ。この姿、この背中こそが筒香嘉智だ。【小早川宗一郎】 ○…DeNA三浦監督が、シーズン3位から“成り上がり”、26年ぶりの日本一達成に涙を流した。「もう最高にうれしいです」と勝利した瞬間、コーチ陣と涙で抱擁。マウンドでは選手たちの手で5度宙に舞った。「いろんな思いがね…。98年に優勝してから、その後なかなか勝てずに。自分ももう1度という気持ちで現役の時は優勝できず、監督として優勝できてうれしいです」と感極まった。 ▼筒香が2回に決勝点となる先制本塁打。筒香は第5戦でも先制適時打でV打をマークしており、シリーズで2試合連続V打は15年第4、第5戦の李大浩(ソフトバンク)以来20人目で、DeNAでは横浜時代の98年第1、第2戦の鈴木尚以来26年ぶり。筒香のように日本一王手→日本一決定の2試合連続だったのは、15年の前記李大浩以来8人目。球団では大洋時代の60年近藤昭以来64年ぶりとなった。