「お疲れ様」中上貴晶選手がラストレースを終えて自分にかけた言葉【MotoGP第20戦ソリダリティGP】
もうひとつの「感情的になったシーン」は、チームが待つピットに戻ったときに訪れました。2018年から最高峰クラスに参戦し続けて7シーズン。中上選手はずっとLCRチームに所属し、共に戦い続けてきました。そのチームが、「タカ ありがとう」と書かれた揃いのTシャツを着て、「懸命の尽力と喜び、情熱、そして楽しさに満ちた7シーズンをありがとう。寂しくなるよ、タカ!」と英語で書かれたボードで、レースを終えた中上選手を迎えたのです。 「7シーズン、ルーチョさんも含めて、ライダーとしてもそうだけど、人間として、成長もできたし、それ以上に、いろいろな経験を共有できました。何も悔いは無いですね。みんながああいう風に温かく迎えて、終われたから」 最高峰クラスで7シーズン、ロードレース世界選手権としては通算15シーズン戦い終えた中上選手に、「フル参戦ライダーとして最後のレースを終えた自分に、どんな言葉をかけたいですか?」と尋ねました。 「一言では難しいですね。お疲れ様、という気持ちが一番かな」 けれど、やっぱりこう付け加えるのです。 「でも、これで終わりではないので。だから、難しいですね(笑)」 その表情は、とてもとても、すっきりとしていました。
伊藤英里