『オクラ』足立遼太朗×『脱法TV』原田和実、“王道”と“裏切り”のフジ若手同期が語る5年の歩みとテレビの可能性
『めちゃイケ』総監督に見いだされる
きょう17日に最終話を迎えるフジテレビ系ドラマ『オクラ~迷宮入り事件捜査~』(毎週火曜21:00~)。プロデューサーの足立遼太朗氏は入社5年目にしてGP帯連ドラ2本目のプロデュース作品となるが、そんな彼と同期で切磋琢磨するのが、“イカれた番組”と話題のバラエティ『ここにタイトルを入力』や『有吉弘行の脱法TV』などで注目を集める原田和実氏だ。 【写真】反町隆史=『オクラ』最終話より その作風に“王道”と“裏切り”という相反するキーワードが浮かび上がってくる2人だが、テレビというメディアの面白がり方など根底には通じるところがあるようだ。そんな若きテレビマンたちに、互いの作品への印象や師匠の存在、刺激を受けたコンテンツ、さらにはテレビの可能性など、話を聞いた――。
■内定者研修で芸能人のドキュメンタリー制作 2人が互いを最初に意識したのは、入社前の内定者研修。5~6人の班に分かれてドキュメンタリー番組を作るという課題で、同じ班に振り分けられた。 そこで原田氏が驚かされたのが、足立氏の行動力とコミュニケーション力。「研修の課題なので、周りの知人などからドキュメンタリーの対象として成立しそうな人を選ぶのが普通だと思うんですけど、遼太朗は“せっかくならハードルが高い人に当たってみよう!”って言い出して。学生ながら芸能事務所と粘り強い交渉をして、僕らの班だけ芸能人のドキュメンタリーを研修で作ることになったんです」と明かす。 一方の足立氏が驚かされたのは、原田氏の構成力。「手伝おうと思って彼の家に行ったのですが、本当に細かいところまでこだわって徹夜でやり続けるので、結局、僕は最後寝てしまいました(笑)。とことん細部まで突き詰めていくのがすごいと思いましたね」と振り返る。 ■異例の情報番組AD&ドラマAP掛け持ち これをきっかけにプライベートでも仲良くなった2人だが、2020年入社の彼らは、いきなりコロナ禍に直面。そんな中、『めちゃ×2イケてるッ!』の総監督として知られる片岡飛鳥氏が企画構成を務めた若手育成特番『567↑8』(21年3月30日放送)に、1年目の原田氏が出した、劇団ひとりに密着した体(てい)のフェイクドキュメント『ハイパーハードボイルドひとリポート』が採用された。 さらに、チャレンジ枠『水曜NEXT!』で、原田氏が注目を集めることになった『ここにタイトルを入力』(21年11月)が放送。足立氏は「さすがだなと思いました。面白かったし、見たことがない新しいものをつくりだしていて衝撃でした」と刺激を受けた。 足立氏が最初に配属されたのは情報番組の制作部署で、『直撃LIVEグッディ!』や『バイキングMORE』にADとして従事。それでもドラマ志望の足立氏は「自分の存在を知ってほしいと思って、ドラマの企画書を出し続けました」と、ADの激務の中でアピールしていた。 その努力が実を結んだのが、22年4月期に放送された『ナンバMG5』。原作漫画のドラマ化の提案が採用され、情報制作局のADを掛け持ちしながら、アシスタントプロデューサーとして参加した。この功績が認められ、念願のドラマ制作への異動がかなったのだ。 この努力を見続けていた原田氏は「多忙な情報番組のADをやりながら、夜中に大量の原作漫画をインプットして、作った企画書を違う部署に出しに行くって、とてもパワーがいる、簡単にできることではないと思うんです。ドラマに行きたいという誰よりも強い思いで、2年間ずっと努力していたので、報われて本当に良かったなと思いました」と、当時をうれしそうに振り返った。 ちなみに、『ここにタイトルを入力』では、ストーリーが進行するにつれて予算不足で画面上に次々と違和感が発生するドラマ『足りない世界で愛を描く。』が放送されたが、この脚本を担当した政池洋佑氏を原田氏に紹介したのが足立氏。来年1月期の香取慎吾主演ドラマ『日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった』も手がける政池氏だが、当時はドラマ脚本を書きながら情報番組の構成作家の仕事もしており、そこで足立氏と知り合っていたのだ。