安心してください!! 自営業、フリーランスでも退職金はあるんです
退職金がない場合はどうするのか
ではサラリーマンであっても退職金のない会社の場合はどうなのでしょう。この場合は今、自分がもらっている給料の中に退職金相当分が含まれていると考えなければなりません。したがって、自分でそれに相当する分は切り分けて積み立てていく必要があります。 自営業やフリーランスの場合も全く考え方は同じです。自分が稼いで得た収入は自分が管理するのは当然ですから、一定割合を自分の退職金として準備することが大切です。 ただ、サラリーマンとは異なる点がいくつかあります。まずサラリーマンと違って自営業などには定年がないこと。したがって「老後」の期間をどう考えるかは人によって違ってきます。次にサラリーマンで退職金制度がある場合と違って、積み立てて管理するのは自分自身です。それだけに何もしなければいつまでたっても老後資金を作ることはできません。
自分自身で作る退職金はどんなもの?
ところが自営業やフリーランスは、自分自身で退職金を作らなければならない分、サラリーマンよりも優遇されている制度があるのです。一般的に、老後資金を作るための手段として自営業やフリーランスの人が活用できる制度としては次のようなものがあります。 1.個人型確定拠出年金 2.小規模企業共済 3.国民年金基金 4.個人年金保険 この内、1と2はとても優れた制度です。自営業やフリーランスの人はぜひとも利用すべきですが、3と4は現在では利用するには値しません。なぜなら以前とは異なり、利回りが非常に低く、それがずっと長期にわたって固定されてしまうからです。したがって使わない方が賢明です。(過去の利回りが良かった時に加入している人は別です) 1の個人型確定拠出年金は自営業だけではなく、企業年金のない会社に勤めるサラリーマンも利用できますし、現在国会で審議中の確定拠出年金法の改正法案が通れば、サラリーマンのほぼ全員、そして専業主婦や公務員も利用できるようになる制度になります。 詳しくはこのシリーズの別の機会にお話ししますが、なんといっても税優遇が大きいです。自営業の場合だと、年間81万6000円までは掛け金が所得控除されます。生保の個人年金保険の場合、所得控除の上限は年間で6万8000円ですから、なんと12倍もの開きがあります。また、同じ確定拠出年金でもサラリーマンに比べて自営業者は積立てできる金額がかなり大きいのです。 2の小規模企業共済も自営業の方が利用できる制度で、こちらは月額7万円が積立の上限で、こちらも掛け金の全額が所得控除されます。 このように自営業だからといって、必ずしもサラリーマンよりは不利ということではありません。探せば、自営業やフリーランスならではの有利な資産形成の制度はあります。 大切なことは老後に向けた資金を作るために、「適切な方法」で、「続けていく仕組みをつくる」、ということです。 (経済コラムニスト・大江英樹)