「お前は1年間死んでいたのか」と元秘書を叱った…伝説の経営者・稲盛和夫が絶対に許さなかった"部下の行動"
■「どうしてもやりたい」なら真正面から取り組むべき この「どうしてもやりたいからやるんだ」という強烈な思いが大切になるのは、技術開発や新規事業だけではありません。充実した日々を歩んでいこうとすれば、そのような強烈な思いが不可欠になるのです。 たとえば、多くの高校球児たちが「どうしても甲子園に行きたい」と炎天下で練習に明け暮れています。また、自分の夢をどうしても実現したいと、幾多の困難があるのを承知のうえで大企業を離れ、ベンチャー企業を創業する若者も多数います。 私自身も高校生のときに、大学進学後は「どうしても世界一周をし、世界を知りたい」と強く思い、自分なりに周到な準備をして実現させることができました。 京セラに入社し、10年近くたったとき、どうしてももっと経営について学びたいと願い、準備をし、社費で米国の経営大学院に留学させてもらい、幸運にも首席で卒業することもできました。 その過程は、外から見ると、苦労の連続のように見えるかもしれませんが、本人からすれば、最も充実した日々なのです。 そのような「どうしてもやりたい」ことを見つけることが大切だという人もいますが、それは探すものではなく、心の中から湧き出てくるものでしょう。 「どうしてもやりたい」という思いが心の中に生まれてきたときに、それに真正面から取り組むことが必要なのであり、稲盛さんの多くの言葉もそれを示唆しているように思います。 ---------- 大田 嘉仁(おおた・よしひと) MTG相談役、元日本航空会長補佐 昭和29年鹿児島県生まれ。53年立命館大学卒業後、京セラ入社。平成2年米国ジョージ・ワシントン大学ビジネススクール修了(MBA取得)。秘書室長、取締役執行役員常務などを経て、22年日本航空会長補佐専務執行役員に就任(25年退任)。27年京セラコミュニケーションシステム代表取締役会長に就任。令和元年MTG取締役会長就任。現職は、MTG相談役、立命館大学評議員、鴻池運輸社外取締役、新日本科学顧問、日本産業推進機構特別顧問など。著書に『JALの奇跡』(致知出版社)、『稲盛和夫 明日からすぐ役立つ15の言葉』(三笠書房)などがある。 ----------
MTG相談役、元日本航空会長補佐 大田 嘉仁