仙台六大学野球で新たな取り組み…ピッチクロック用「クロックボード」の試験的導入、その効果は?
11月3~5日、仙台市の東北福祉大野球場で、仙台六大学野球秋季新人戦が開催された。仙台六大学野球連盟は今大会、試験的ではあるが、大学野球では全国初とみられる新たな取り組みに挑戦。それが、投球間の秒数をカウントダウン表示するピッチクロック用「クロックボード」の設置だ。設置の経緯やその効果を探った。
「試合時間短縮」は野球界の喫緊の課題
野球界において、試合時間短縮はプロアマ、そして国内外を問わず重要な課題の一つとなっている。メジャーリーグ機構(MLB)は今季から、「ピッチクロック」を導入。投手はボールを受けてから走者がいない場合は15秒以内、走者がいる場合は20秒以内に投球動作に入らなければならず、違反した場合には自動的に1ボールが追加される。効果は導入1年目から現れており、2023年レギュラーシーズンの平均試合時間は昨季と比較して30分近く短縮された。
日本の野球界に目を向けると、日本野球機構(NPB)では2009年から、走者がいない場面で15秒以内に投球しなかった場合にボールを宣告される「15秒ルール」が適用されている。一方アマチュア野球では、公認野球規則と「社会人及び大学野球における試合のスピードアップに関する特別規定」に基づき、「走者がいない場合は12秒以内、走者がいる場合は20秒以内」の規定を従来から設けている。 ただNPBでは15秒ルールがほとんど遵守されておらず、アマチュア野球でも違反が宣告されるケースはそれほど多くない。しかしMLBのピッチクロック導入を受け、日本野球界でも「厳格化」が波及しつつある。その一例として、社会人野球は15秒と12秒の違いなどはあるものの、MLBとほぼ同じ規定のピッチクロックを導入。今年の都市対抗野球大会ではバックネット裏やベンチ横にクロックボードを設置した。
平均試合時間15分弱短縮、早くも効果
今回ピッチクロック用クロックボードの設置を提案したのは、仙台六大学野球連路付属審判部長の坂本健太さん(37)。これまでは二塁塁審がストップウォッチで投球間の秒数を計測していたが、審判員の負担を減らし、チーム側に対し、不透明だった秒数を明確に、目に見えるものにすることを目的に提案した。規定自体は従来から変更せず、走者がいない場合は12秒以内、走者がいる場合は20秒以内に投球(リリース)するよう規定する。 連盟の許可を得て、今大会は試験的に投手から見える位置に一台、クロックボードを設置した。今大会で使用したクロックボードは野球用に作られた屋内用のデモ機で、購入すれば10万~15万円。商社マンの一面も持つ坂本さんがメーカーとの交渉をスムーズに進められたこともあり、早い段階での試験的導入が実現した。