健康診断もすり抜けあらゆる病気のリスクに! 「血糖値スパイク」を防ぐ2つの予防策
血糖値スパイクのリスクは、血管への影響だけにとどまらない。インスリンが不足すれば、アルツハイマー型認知症の原因になるアミロイドβを蓄積しやすく、逆に過剰なインスリンはがんを引き起こす要因になるという。 「血糖値が高くなるだけではなく、急降下することで『低血糖』やそれに近い症状になります。すると、めまいや頭痛、尋常じゃない眠気、動けないような倦怠感などに襲われます」 空腹時血糖値の正常値は70~110㎎/dl(100~109㎎/dlは正常高値)とされている。しかし、人によっては血糖値スパイクの影響により食後2、3時間でこの数値を下回る。夕方のしんどさは、暑さや仕事のせいではなく、血糖値の可能性もあるのだ。 「ちなみにアルコールは血糖値を下げます。お酒を飲みすぎると起きやすいのが、『夜間低血糖』です。寝ている間に血糖値を調節するため、アドレナリンやグルカゴンなどの興奮ホルモンが分泌され、交感神経が優位になります。すると、深夜に目が覚めたり、起床時に疲れが取れないなどの症状が起きます」 夜間低血糖を防ぐため、寝る前に大量に糖質を摂取するのは、血糖値を乱高下させることになるので本末転倒。適度に炭水化物を食べながら、飲みすぎないことが大切だ。 ■自覚もできず検査もすり抜ける! さまざまな病気につながるだけでなく、日々の体調にも影響する血糖値スパイク。厄介なことに、自覚症状がほとんどない上に、通常の健康診断や人間ドックでは見つからないことが多いという。 「健康診断などでの血糖値の検査は食事を抜いて行なわれるのが一般的です。しかし、血糖値スパイクの人でも空腹時血糖値は、あくまで正常。血糖値スパイクかどうかは食後血糖値を測らないとわかりません。だから見落とされ、静かに進行してしまうんです。 ご自身が血糖値スパイクかもと疑う方は糖負荷検査を行なったほうがいいと思います。糖尿病診断で使われるもので、ブドウ糖を摂取して30分後、1時間後、2時間後に採血して血糖値を調べる検査です。40代以上の方にはオススメしています」 ほかにも血糖値スパイクか調べる方法があるそうだ。 「血糖値は食事だけでなく、ストレスや睡眠不足、遺伝などさまざまな要因で変化します。また、血糖値が上がりやすい食べ物が人によって違うなど、個人差が大きい。なので、より精密に知るためには一定期間のリアルタイムの数値と行動を照らし合わせることが大事。糖尿病の血糖値管理に使う機器を利用して、血糖値を長期間モニタリングする検査も医療機関によっては行なっています」 健康診断の血糖値が正常でも、安心するのは早い。血糖値スパイクが日常的に起きていれば、いずれはその数値も異常値になる。ただし、血糖値スパイクであることを早めに自覚していれば、打てる手立てはまだある。 ■食事の前後で血糖値の急上昇を予防! "生活習慣病の前触れ"ともいえる血糖値スパイク。疑い、もしくは心当たりのある人は何をすべきなのか。さまざまな原因があるとはいえ、大きな要因は食事だ。ただ、「いきなり健康的な食事を」と言われても、正直面倒。それができていれば血糖値スパイクになっていないはずだ。 「一般的にいわれているのは『ベジファースト』、つまり食事の際に野菜を先に食べることです。糖が野菜に含まれる食物繊維と一緒になることで、吸収に時間がかかり、血糖値の急上昇を防ぐことがわかっています。 しかし、それを証明する多くの研究では、野菜の摂取から15分後に糖質を摂取しているんです。つまり、米などを食べるまでに15分の時間がある。その状況を再現できますか? 牛丼にサラダをつけたとしても、すぐお米を食べますよね?」 夕食ならともかく、時間のない朝や昼休みに、サラダを食べて15分待つほど暇ではない。そこで「ベジファーストの効果を100%発揮するのは現実的ではない」という泰江院長が勧めるのは、「カーボラスト」だ。