紅白、旧ジャニ出演「ゼロ」の真相 スタート社が問題視した「Nスぺ」の“衝撃場面”とは
スタート社も痛い
紅白ゼロが痛いのはスタート社側も同じ。NHKの稲葉延雄会長(74)は10月16日、スタート勢の出演見合わせを解くと宣言したが、紅白というNHK復帰の格好の機会を失ってしまった。 ドラマ出演への影響も避けられそうにない。制作畑職員とスタート社マネージャーたちの往き来も断たれたままなのだから。 「民放のドラマに絞ればいい」では済まされない。たとえばSixTONEの松村北斗(29)は連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」(2021年度下期)で1人目のヒロイン・橘安子(上白石萌音)の夫・雉眞稔を演じ、演技への評価と好感度を劇的に高めた。 特に普段はSixTONEと縁遠い50代以上の女性の支持が高まったと見られているのが大きい。連続テレビ小説のファンは圧倒的にこの年代の女性なのだ。全回平均の世帯視聴率は17.1%。こんなドラマは民放に存在しない。 前出・制作畑のスタッフも先輩の若泉氏には心を寄せつつ、「思い通りにならないと出演しないというのがスタート社の姿勢であるなら、過去の高圧的だった時代の旧ジャニーズ事務所とあまり変わらないのではないか」と顔をしかめる。 音楽系芸能プロダクションの若手幹部も「紅白の勢いが衰えているだけに、恩讐を越えて出演してほしかった」と残念がる。 NHK、スタート社の双方が損をしたのは間違いない。両者がプラスになる次の一手はあるのだろうか。 高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ) 放送コラムニスト、ジャーナリスト。1990年にスポーツニッポン新聞社に入社し、放送担当記者、専門委員。2015年に毎日新聞出版社に入社し、サンデー毎日編集次長。2019年に独立。前放送批評懇談会出版編集委員。 デイリー新潮編集部
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