蛯名正義調教師（2024年撮影）

　6日東京の最終レース終了後、東京競馬場のパドックで行われたトークショーに蛯名正義師（55）がゲストとして登場した。いよいよ23時20分の発走が迫った大勢のファンの前で凱旋門賞（G1、芝2400メートル、パリロンシャン競馬場）の思い出、展望などを語った。 【写真】99年、モンジューとの一騎打ちで2着に敗れたエルコンドルパサー 　蛯名正師は騎手時代に99年エルコンドルパサー、10年ナカヤマフェスタで2度の2着を経験。タレントの井上咲楽から日本と欧州の馬場の違いを問われると、「（欧州は）芝の質が重いかな。少し種目が違う」と応じた。 　日本馬が初めて欧州の頂点に立ちかけたのが99年だった。蛯名正騎手（当時）とエルコンドルパサーは逃げて勝ち馬モンジューの半馬身差に食い下がった。3着馬クロコルージュにつけていた着差は6馬身。馬上にいた本人でさえ想定していなかった戦法だった。 　蛯名正師　僕も予想していませんでした。馬自身がそういう感じだったので、それに逆らわずという形でした。基本的にハナに行くのはヨーロッパでは今までタブーとされていました。それを自分がやっているので、心臓が口から出てきそうな感じで乗っていました。ですが、馬には自信を持っていたので、どういう形になってもいい競馬をしてくれると思っていました。 　絶対の信頼を寄せていたのは、ワークフォースとたたき合った10年ナカヤマフェスタとのレースでも同じだった。「気持ちの難しいところはあったけど、それまでの経験があったので。どうやったら凱旋門賞で一番ピークになるか、考えながら前哨戦から使っていました。結果としてはうまくいかなかったけど、調整過程としては非常にいい形でもっていけました」。12、13年のオルフェーヴルを含めて日本馬最高着順の2着4回は、いずれも欧州で前哨戦を使ってからの臨戦。ローテは日本から愛チャンピオンS3着をへて参戦するシンエンペラー（牡3、矢作）にも通じる。 　蛯名正師　前走の競馬、血統背景を見てもヨーロッパに適さないということはないと思います。（20年覇者）ソットサスの全きょうだいになりますし、愛チャンピオンSの内容も負けたはしたけど、非常にいい形での前哨戦でした。チャンス十分じゃないかと思います。 　競馬学校時代の同期、武豊騎手（55）もベルリン大賞勝ち馬アルリファー（牡4、J・オブライエン）で参戦。地元フランス馬をはじめ、欧州勢には強豪がそろう。蛯名正師は「今回は非常にいい馬がたくさんいて混戦。日本の馬にも十分チャンスがあります。日本の名手、レジェンドが乗っていますし、すごく興味深くて、楽しみ。どこからどう見ても、どこをとっても楽しいレースになると思います。日本の馬が強くなってきましたし、日本人の夢というか、日本の国旗を掲げられたらうれしいと思います」とエールを送った。