柳楽優弥「優しい青年役」で新境地 “刺激的”な印象一変…天才的演技 「ライオンの隠れ家」P語る狙い
俳優の柳楽優弥(34)が、TBS金曜ドラマ「ライオンの隠れ家」(金曜後10・00)の主演で大きな話題を集めている。これまでは「ハードな役が多かった」という柳楽が、自閉スペクトラム症の弟と6歳の男の子を守る心優しい市役所職員を演じ、イメージを一新した。キャスティングの狙いは?同作を手掛ける松本友香プロデューサーに、オファーの意図や撮影の裏側を聞いた。(中村 綾佳) 【写真】「ライオン」演じる5歳の子役・佐藤大空 演技が凄いと話題に 「ライオンの隠れ家」は、先の読めないオリジナルストーリーと、豪華キャストの演技が光る話題作。柳楽が演じるのは、坂東龍汰(27)演じる自閉スペクトラム症の弟のために生きる真面目で優しい市役所職員・小森洸人。2人で暮らす兄弟が佐藤大空(たすく、5)演じる謎の男の子「ライオン」と出会い、ある事件に巻き込まれていくヒューマンサスペンスドラマ。 柳楽は2003年にフジテレビ系ドラマ「クニミツの政」で俳優デビューし、04年、12歳の時に出演した是枝裕和監督の映画「誰も知らない」で世間に強烈な印象を残した。同作の演技は、日本人として初めて「カンヌ国際映画祭」の最優秀男優賞を受賞。史上最年少での受賞となり、一躍時の人となった。 その後は「ガンニバル」「ディストラクション・ベイビーズ」などで目力を生かしたハードな役どころが続き、刺激的な役での印象を根強く残した。 そんな柳楽を、同作では「自閉スペクトラム症の弟と6歳の男の子を守る心優しい市役所職員」として起用した。柳楽が同局ドラマで主演を務めるのは初めて。起用に至った経緯は? 松本プロデューサーは、主人公・洸人のキャスティングについて「企画書の段階で、洸人は“少し諦めた感じや閉塞感”があるので、どういう方が演じたらいいのか…イメージはありました。ですが、イメージそのままの方を起用すると、暗い方向に向かってしまうのではないかと、いろんな葛藤がありました」と、さまざまな思いを抱えていたことを明かす。 その中で柳楽に白羽の矢を立てたのは「“返り血を浴びるような強い印象の役が多い”柳楽さんが演じたら、面白いのではないか」という松本プロデューサーならではのアイディアだった。さらに決め手となったのは、のん主演の映画「さかなのこ」(2022年)での柳楽の演技。「ヤンキー役なのですが、のんさん演じる主人公を、心根の優しさでサポートしていて。実は優しい青年だったので、きっと洸人の優しさに合うんじゃないかな」と確信し、オファーに至ったという。 松本氏の狙い通り、柳楽の演技は初回から視聴者の心をつかんだ。ネット上では「柳楽優弥の演技力すごい」「柳楽優弥めちゃくちゃいいお兄ちゃんだけど、ちょいちょい弟のこと鬱陶しそうにする瞬間があるの本当にリアルすぎ」と話題に。松本氏も「柳楽さんの根底の優しさみたいなものが演技ににじみ出ています。セリフだけじゃない、“間”とか、目くばせとか、台本にはないもので雰囲気を醸し出しています。細部に宿る優しさが圧倒的だなと、いつもモニターを見ながら感嘆しています」と、その演技力にうなる。 今作は柳楽だけではなく、自閉スペクトラム症を演じる坂東、奔放ながら問題を抱えている6歳児を演じる子役の佐藤と、俳優陣の熱演が光る。松本氏は「キャスティング、頑張りました!でもそれも『柳楽さんが主演』というのが大きいです。柳楽さんが主演なことで、“やってみたい”と思ってくださった方々が凄く多かったです」と柳楽が与える影響の大きさに感嘆した。 物語については「だんだんとサスペンスの要素が出てきて、展開が気になる方が多いと思います。その中でやっぱり大事にしてるのは、根底にある3人のヒューマンドラマ」と主張。「サスペンスの嵐があるからこそ、3人の関係性が今後どう成長していくのか。“単なるサスペンスドラマ”ではないというのが、今作の魅力だと思っています」と胸を張った。